腎血管撮影による腎細胞癌のstaging診断

概要

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腎細胞癌の浸潤度を術前に診断することは,手術療法をはじめとする治療方針を決定するため重要である.今回我々は,腎摘除術を施行した腎細胞癌50例について,腎血管撮影による腫瘍の局所浸潤度(遠障転移例は除外した)の診断と,手術および病理所見による浸潤度を比較検討した.その結果,両者の一致率をみると stage 1で11例中9例(82%),stage 2で27例中18例(67%),stage 3Aで10例中8例(80%),stage 3Bで3例中1例(33%),stage 3Cで3例中1例(33%)で,stage 4Aの1例は一致せず,総計で50例中37例(74%)が腎血管撮影による浸潤度の診断が正しかった.腎血管撮影による腎細胞癌の浸潤度診断の問題点は,腫瘍の血流供給が腎動脈のみから認められた場合でも約20%は腫瘍の腎被膜外浸潤がみられ,一方腫瘍への血流供給が腎被膜動脈または寄生動脈から認められた場合でも約20%に腫瘍の腎被膜内限局例が認められた点であり,さらに所属リンパ節転移に関し,腎血管撮影での診断率が低い点であった.また側副静脈の描出された症例のうち,腎静脈内腫瘍血栓を認めた例は50%しかなく,stage 3Aを血管撮影上診断する上では,striated vascular patternの読影が有用であった.
社団法人日本泌尿器科学会の論文