腫瘍径が小さな腎細胞癌の臨床病理学的特徴

概要

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(背景と目的)予後と関連した小さい腎細胞癌とは何cm以下の症例を意味するかに関して検討した。(対象と方法)過去38年間に治療した腎細胞癌760例中,腫瘍径が2.5cm以下の症例(I群:27例,causespecific case:26例)と2.6〜3.0cmの症例(II群:31例,cause spedfic case:27例)間で,臨床病態の差異を検討し,さらに生存率についてRobson分類stage I症例(273例,cause-specific case:259例)も加えて比較した。(結果)1) I群とII群間に,平均罹患年齢,性差,患側,発見の契機,発見の契機となった検査法,および血液生化学的異常の比率に有意差はなかったが,I群がII群に比較して有意に腫瘍が腎中央部に存在する例が多かった。2)Robosn分類のstage1の平均腫瘍径は5.5cm(0.7〜18.0cm)で,I群(平均1.98cm)や,II群(平均2.84cm)のそれに比較して有意に腫瘍径が大きかった。3)I群とII群間,およびこれら症例とRobson分類のstage 1との間にも生存率に有意差はなかった。4)I群とII群に関して,各grade別生存率を比較したが,各gradeに生存率の有意差はなかった。5)再発症例はI群で5例(19.2%),II群で2例(7.4%),Robson分類stage 1で48例(18.5%)であった。(結論)予後と関連した小さい腎細胞癌の腫瘍径は具体的に規定することは困難であった。
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1996-03-20