タマネギりん片上における黒点病菌の生育過程の観察
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概要
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菌糸侵入に対する阻害物質をアルコールで抽出除去したタマネギリん片上皮上で, 黒点病菌の全生育過程, すなわち, 胞子発芽, 付着器形成, 菌糸侵入, 侵入後の菌糸, 柄子殻の形成, 柄子殻中の柄胞子の形成が観察された。しかも, それらの形成率や時間変化等は, ミカンの葉や枝の上で観察された結果とほぼ同じであった。したがって, タマネギリん片上皮を使ったこの方法は, 黒点病菌の各生育過程に及ぼす殺菌剤の効果を検討するのに非常に有用であろう。胞子発芽率の最大値は約80-100%で, 菌糸侵入率の最大値は約50-70%であった。付着器の形は, ほとんどが, こぶし形ないしは球形であった。そして, 付着器形成と菌糸侵入とは, かならずしも一定の関係があるとは思われなかった。したがって, 黒点病菌の付着器は一般に宿主に付着する為の器官と思われるが, 20-30%程度の形成率から判断して, その役割はそれほど重要ではないと解釈される。タマネギリん片上皮上に形成された柄子殻中の柄胞子は, 展葉初期のミカンの葉に接種すると展型的な黒点病の病斑を形成したので, 病原性のあることが確認された。
- 日本植物病理学会の論文
- 1979-09-25
著者
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