銅剤の Diaporthe citri の柄胞子発芽阻害に及ぼす Cu^<2+> イオン濃度ならびに pH の影響
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概要
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Diaporthe citriの柄胞子発芽率と塩基性硫酸銅の濃度, Cu^<2+>イオン濃度およびpHとの間の関係を検討した.塩基性硫酸銅は1 ppm以下の濃度ではD. citriの柄胞子発芽を抑制しなかったが, それ以上の濃度では, 高濃度になるに従って発芽を抑制し, 50 ppmでは発芽を完全に抑制した.一方, Zボルドー(主成分 : 塩基性硫酸銅)は, 1∿10 ppmでは高濃度になるに従って発芽を抑制したが, 10∿50 ppmにかけては発芽をあまり抑制しなかった.しかし, それ以上の濃度では再び発芽を抑制した.D. citriの柄胞子発芽率は, pH 5∿6ではほぼ100%であったが, pHがそれより高くなると発芽率が低くなり, pH 8付近では約35%であった.pHが一定(pH 5∿8)の場合には, 発芽率はCu^<2+>イオン濃度に依存していた.薬剤濃度が同じ場合には, pHが低いほどCu^<2+>イオン濃度は高く, pHが高くなるとCu^<2+>イオン濃度は低くなった.Zボルドーは塩基性硫酸銅にさらに塩基性の塩2種が含まれているため, pHが高く(pH 7以上), Cu^<2+>イオンが溶出しにくくなっていた.したがって, Zボルドーの10∿50 ppmでは発芽があまり抑制されなかったものと考えられる.それより高濃度(50∿500 ppm)ではpHが7.5∿9.0になるので, pHの影響で発芽が再び抑制されたものと考えられる.pH 6付近の柄胞子懸濁液では, 50%胞子発芽阻害には, 約4.2×10^<-5>MのCu^<2+>イオン濃度が必要であった.
- 日本農薬学会の論文
- 1981-02-20
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