灰色かび病菌の感染における分生胞子融合の役割について
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概要
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灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子を蒸留水, 5%グルコース, 5%フラクトース, 5%ペプトン各溶液に1×10^5個/mlの濃度に懸濁し, キュウリ(相模半白)の第1葉に接種した場合, 感染が認められない。ところが接種源の胞子濃度を高めると, 5%グルコース, 5%フラクトース懸濁液接種で感染が認められた。そこで胞子濃度が異なる5%グルコース懸濁液(1×10^5, 1×10^6, 1×10^7, 1×10^8個/ml)を用意し, キュウリ第1葉に接種し, 経時的に光顕観察した。低濃度(1×10^5, 1×10^6個/ml)接種葉では, 胞子は発芽後, 発芽管先端に付着器(simple appressoria群の第2型)を形成し, 侵入を試みるが, 組織内への侵入は認められなかった。高濃度(1×10^7, 1×10^8個/ml)接種葉では, 隣接した胞子間で胞子同士, 発芽管と胞子, あるいは発芽管同士が融合し, 網目状の構造体を形成した。この構造体は内藤らがイネ褐色葉枯病菌(Fusarium nivale)で報告した分生胞子複合体と類似した形態を示す。この網目状の構造体から分岐した菌糸先端に付着器(simple appressoria群の第2型)が形成され, 角皮侵入しているのが観察された。胞子濃度の高い条件下で, グルコースは胞子間融合, 網目状構造体の形成を誘導することが考えられる。また網目状構造体は感染に要するエネルギーの補給に役立つものと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-01-25
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