灰色かび病菌のキュウリ葉感染過程に対する数種のプリン関連化合物の促進効果に関する形態学的研究
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概要
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核酸塩基プリン関連化合物が灰色かび病菌(Botrytis cinerea)のキュウリ葉感染に対し促進効果を示すことから, これら化合物の促進機構を形態的に検討した。プリン関連および分解化合物(ATP, ADP, cyclic AMP, AMP, IMP, adenosine, inosine, adenine, uric acid, allantoic acid, urea)をそれぞれ5%グルコースを含有する胞子懸濁液(1×10^5個/ml)に添加し, 各々溶液濃度が1×10^<-3>Mとなるように接種液を作成した。各接種液をキュウリ幼苗(相模半白)第1葉から採取した葉片に接種し, 経時的に光顕観察した。その結果, 尿素を除くプリン関連および分解化合物添加胞子懸濁液接種葉では発病が認められた。本菌は第1次付着器から伸長した菌糸先端部にmulticellular型の第2次付着器を形成し, その後角皮侵入することが観察された。発病程度ならびに第2次付着器形成は, イノシン添加胞子懸濁液接種葉で最も顕著であった。そこで次に, 本菌の発病促進に対するグルコースおよびイノシンの役割について調べた。接種後16時間以内にグルコース溶液を除去し, その後同一部位にイノシン溶液を添加した場合には, 病斑形成ならびに第2次付着器形成は認められなかった。しかし, 接種後18時間以降にグルコース溶液を除去し, イノシン溶液を添加した場合には, 病斑形成ならびに第2次付着器形成が認められ, 特に接種後18〜24時間以内にイノシン溶液を添加した場合には最も顕著であった。以上の結果から, グルコースは胞子の発芽, 第1次付着器形成, 葉上菌糸伸長に関与し, イノシンは葉上菌糸が伸長後, 第2次付着器形成ならびに侵入に関与すると考えられた。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-04-25
著者
-
小林 裕美子
理研
-
黄 耿堂
理研
-
黄 耿堂
理化学研究所微生物薬理研究室
-
黄 耿堂
理化学研究所
-
見里 朝正
理化学研究所
-
松沢 安秀
理研
-
渡部 忠一
東邦化学工業株式会社技術研究所
-
阿久津 克己
理化学研究所
-
小林 裕美子
理化学研究所
-
松沢 安秀
理化学研究所
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