並列論理型言語KL1のクローズインデキシング方式
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概要
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本論文では,並列論理型言語KL1のクローズインデキシング方式を提案し,評価結果を報告する.KL1では,ゴールの実行のために試みる候捕クローズの選択の順は言語では規定されておらず,コンパイラあるいは処理系で自由に決めてよい.そこで,本論文では,コンパイル時に個々のクローズが選択されるための条件を求め,選択される可能性のあるクローズ群をまとめてコンパイルしてオブジェクトコードを生成するクローズインデキシソグ方式を提案する.本方式では,引数のデリファレンス,ヘッド引数として現れた構造体の分解や,組込述語などクローズ間で共通した処理は,重複して実行されないようにコンパイルされる.また,クローズインデキシングに用いる命令の設計方針,命令の概要について説明する.次に,本方式の効果を調べるために汎用計算機上にKL1のエミュレータを作成して行った性能評価の結果を報告するその結果,本方式は,クローズヘッドの引数の構造が複雑であるほど,サスペンションの回数が多いほど,候補クローズの数が多いほど,効果が大きいことがわかった.具体的には,クローズインデキシングを行わない場合と比較して,本方式では,静的なコード量は増大せず,命令実行数,実行時間も1割から4〜5倍向上する.さらに,クローズインデキシングを行うことにより,ガード部の実行時の動的な命令分岐の数を5割近く減らせる場合があることがわかった.動的な命令分岐数の減少は,命令先取りバッファや,命令パイプライン機構をもったマシンにおいて命令ストリームの乱れを減らす効果をもたらすと考えられるしたがってこの結果は,KL1をこのような機構を備えたマシン上に実現する上で極めて好都合な結果である.さらに,本方式により,プログラマは,クローズの順に関して処理系の詳細を知らなくても,クローズを最適に並べた場合以上の速度を得られることを示した.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1991-03-15
著者
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