子宮頚部腺癌早期診断上の問題点
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概要
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子宮頚部腺癌94例(clinical stage 0〜II)を臨床病理学的に検討し、頚部腺癌早期診断における問題点を明らかにした。I. 頚部腺癌診断の遅れ 1) 上皮内頚部腺癌の頻度:上皮内腺癌の頻度は4.26%(4/94)であるのに対し扁平上皮内癌のそれは36.50%(150/411)であった。2) 子宮頚管壁浸潤の深さ:浸潤の比較的浅いα,β型の頻度は頚部腺癌、頚部扁平上皮癌それぞれ、26.67%(24/90),61.79%(228/369)であった。II. 既往検診成績 1) 既往細胞診:腺癌診断前3年前に細胞診を受けた49例、延べ109検体中76検体(69.72%)に異常細胞が出現した。2) 既往組織診:精密検診を受けた29例、延べ39生検の内、腺異形成 glandular dysplasia 以上の異常を指摘されたものは18検体(46.15%)に過ぎず、他に異型上皮(扁平上皮)5例であった。異常を指摘されなかった16検体中2例(12.50%)は再検討の結果腺異形成とすべきものであった。異型腺上皮とされた14例中7例、5例、2例は再検討の結果それぞれ腺異形成、上皮内腺癌、微小浸潤腺癌とされた。III. 頚部腺癌の発生部位 腺癌発生部位の推定が可能であった17例中11例、6例はそれぞれ膣部、頚管内に発生しており、変換帯領域、円柱上皮領域に発生するものはそれぞれ12例、5例であった。また、4例は被覆円柱上皮に病変を認めなかった。以上の結果から、(1)腺異形成ならびに上皮内腺癌の"precursor lesion"であること、(2)頚部腺癌の診断の遅れは明らかであり、その理由として、(1)生検組織診の"underdiagnosis"、(2)通常の試験切除診ではこれらの"precursor lesion"を取り損なう場合があり得る事、等が挙げられる。積極的な円錐切除診が必要である。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-05-01
著者
-
小幡 憲郎
栃木がん
-
竹内 正七
帝京大学医学部産科婦人科学教室
-
佐々木 綾子
新潟県厚生連村上総合病院
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
小幡 憲郎
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
佐々木 綾子
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
小幡 憲郎
新潟大学 産婦人科
-
石黒 義隆
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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