子宮頚部扁平上皮癌組織のMHC Class I抗原の表現に関する検討 : MHC Class I抗原のmonomorphic determinantおよびpolymorphic determinantに対する抗体を用いた免疫組織学的解析による
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概要
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子宮頚部扁平上皮癌(23例)組織について, HLA-ABCのmonomorphic determinantに対するモノクローナル抗体(W6/32)とHLA-A2のpolymorphicdeterminantにのみ反応する抗体(MA2.2)とを用いた免疫組織学的解析を行い, 以下の結果を得た. (1) 解析した23例のいずれについても正常上皮細胞, および間質細胞はW6/32陽性であった. しかし, 癌細胞のみ陰性を示したものが2例(8.7%)認められた. (2) 正常上皮細胞,間質細胞,および癌細胞のいずれもW6/32陽性を示した21例のうち, MA2.2の反応性から14例(60.9%)がHLA-A2陽性と判断された. この14例において癌細胞もMA2.2陽性を示したものは5例(35.7%)のみであり, 癌細胞が陽性を示さなかったものが9例(64.3%)も観察された. (3) HLA-A2に関して,正常上皮細胞および間質細胞が陰性であって, 癌細胞にのみ陽性である症例は存在しなかった. 以上より, 子宮頚部扁平上皮癌細胞においてHLA-ABCの表現が全く認められないか, 自己HLA-ABCのpolymorphic determinantを欠如する症例が合計73.0%観察された. ウイルス感染細胞や癌細胞などを効率的に排除するためには, ウイルス抗原や癌特異(関連)抗原とともに自己MHC Class I抗原を認識することが必要であるとされるcytotoxic T lymphocyteの作用機序を考慮すると, すでに臨床的に認識されるに至った子宮頚部扇平上皮癌の多くは, MHC Class I抗原の表現の面から, 患者の免疫的攻撃から逃避する機構を獲得している可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-07-01
著者
-
竹内 正七
帝京大学
-
児玉 省二
Japanese Serous Ovarian Cancer Study Group
-
児玉 省二
新潟大学医学部産婦人科学教室
-
高橋 威
新潟がん
-
小幡 憲郎
栃木がん
-
金澤 浩二
琉球大
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
本間 滋
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 正七
帝京大学医学部産科婦人科学教室
-
中村 稔
新潟大
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
高橋 威
新潟県立がんセンター
-
笹川 重男
新潟県立がんセンター
-
小幡 憲郎
新潟大学 産婦人科
-
丸橋 敏宏
新潟県立がんセンター新潟病院
-
小幡 憲郎
新潟県立がんセンター新潟病院
-
中村 稔
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
丸橋 敏宏
新潟県立がんセンター新潟病院産婦人科
-
笹川 重男
新潟県立がんセンター新潟病院
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
-
本間 滋
新潟大学医学部産科婦人科
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