Ganglioside GM2の正常妊娠における組織局在, 血中動態およびその対応抗体の解析
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概要
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Ganglioside GM2およびGD2であるOncofetal Antigen Immunogenic (以下OFA-I)は癌胎児抗原の一つで強い免疫原性を持つが, 正常人ではその対応抗体はほとんど認められていない. ところが, 正常妊婦血清中には抗OFA-I抗体が高率に認められ, OFA-Iが妊娠により特異的に表現されるものと推測される. そこで今回は, OFA-IのうちGM2につき正常妊娠におけるその局在, 血清中濃度および対応抗体の出現動態を検討し, 次の結果を得た. (1)正常妊娠6症例の[サイ]帯血, 母体血および羊水を分娩時に採取し, そのGM2量をThin Layer Chromatogram(TLC)-Immunostaining法にて調べると, 母体血清中で平均76.7pmol/ml(5.0〜120.0pmol/ml)と最も多量に検出され, [サイ]帯血清中でも平均10.8pmol/ml(3.0〜22.0pmol/ml)検出されたが, 羊水中には検出されなかった. (2)妊娠時の各組織よりgangliosidesを抽出しGM2量をTLC-Immunostaining法にて調べると, 妊娠初期脱落膜4検体中2検体に75, 70pmol/g, 分娩時胎盤2検体中1検体に25pmol/gのGM2が検出された. しかし, 妊娠初期紘毛組織4検体にはGM2は検出されなかった. (3)妊娠時のGM2組織局在を免疫酵素抗体法(ABC法)により調べたところ, 脱落膜内に陽性所見が得られたが, 絨毛組織には陽性所見は得られなかった. (4)妊婦血清264検体の抗GM2抗体活性をELISAにて測定したところ, 妊娠16週以後産褥5日目に至るまで有意に抗体活性の上昇を認めた. 以上より, GM2は妊娠により, 今まで考えられていた絨毛組織ではなく脱落膜内で多量に表現され, 血清中に遊離され, その結果母体感作が起こり抗GM2抗体が血清中に出現したと推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-05-01
著者
-
竹内 正七
帝京大学
-
安達 茂実
長岡赤十字病院産婦人科
-
青木 陽一
琉球大学 大学院医学研究科放射線医学分野
-
青木 陽一
新潟大学医学部附属病院 産科婦人科
-
竹内 正七
帝京大学医学部産婦人科
-
金澤 浩二
琉球大
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 正七
帝京大学医学部産科婦人科学教室
-
安達 茂実
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
鈴木 孝明
新潟県立小出病院産婦人科
-
湯沢 秀夫
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
鈴木 孝明
新潟県立小出病院
-
平林 義雄
静岡県立大学薬学部生化学教室
-
鈴木 孝明
新潟大学 産婦人科
-
青木 陽一
新潟大学 医学部産婦人科
-
平林 義雄
静岡県立大学薬学部
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
-
湯沢 秀夫
新潟大学医学部産科婦人科
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