絨毛細胞に対する増殖・分化因子に関する解析
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概要
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妊娠初期絨毛細胞の増殖・分化には, さまざまな増殖因子や分化因子の関与が想定されている。今回, 絨毛細胞においてautocrine機構が推定されるPDGF, paracrine機構が推定されるEGF, 絨毛細胞からも多量に産生され, 重要組織・臓器の増殖・分化因子として作用するIL-6, PDGF産生細胞のPDGF産生を誘導し細胞増殖促進作用を示すTGF-β_1, 及び脱落膜細胞培養上清 (以下DS) に関し, これらがin vitroでの絨毛細胞の増殖・分化にいかなる効果を及ぼすか検討した。正常妊娠7〜10週の絨毛組織, 脱落膜組織から細切, DISPASE処理にて絨毛細胞及び脱落膜細胞を採取した。絨毛細胞の培養には, Collagen-coated dish及び培養液5%FCS含有Ham's F-12 : Dulbecco's modified Eagle's medium (1:1) 混合培地を使用し, 上記4種のGrowth factor及びDSを種々の濃度で添加した。絨毛細胞の増殖はDNA合成能 (^3H-TdR uptake) を指標とし, その分化はhPL及びhCG産生能 (EIA) を指標とした。1. 対照無添加培養群との比較において, PDGF添加群ではDNA合成能のみ上昇, EGF添加群ではhPL, hCG産生能のみ上昇, IL-6添加群ではDNA合成能, hPL, hCG産生能の上昇, 更にTGF-β_1及びDS添加群ではDNA合成能, hPL, hCG産生能とも著明な上昇が認められた。2. 無血清培養下の実験でも, IL-6, TGF-β_1, 及びDS添加群は, DNA合成能の著明な上昇が認められた。3. TGF-β_1添加群ではFibroblast細胞の増殖に対し, 逆にDNA合成能の有意な低下が認められた。以上, 絨毛細胞の増殖・分化には, PDGF, EGFのみならず, 脱落膜細胞及び免疫担当細胞由来の諸因子も重要な役割を果していることが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-11-01
著者
-
青木 陽一
琉球大学
-
田中 憲一
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
安達 茂実
長岡赤十字病院産婦人科
-
青木 陽一
新潟大学医学部附属病院 産科婦人科
-
金澤 浩二
琉球大
-
田中 憲一
新潟大学医学部産婦人科
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
本間 滋
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
吉谷 徳夫
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
吉谷 徳夫
済生会新潟第2病院産婦人科
-
本間 滋
新潟県立がんセンター新潟病院
-
古谷 徳夫
済生会新潟第2病院産婦人科
-
吉谷 徳夫
新潟大学医学部産婦人科
-
安達 茂実
長岡赤十字病院
-
金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
-
本間 滋
新潟大学医学部産科婦人科
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