絨毛細胞の増殖能に及ぼす各種Growth factorの効果に関する解析
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概要
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正常および奇胎繊毛細胞の長期培養が可能となれば, その癌化機序などに有意義な情報をもたらすと考えられる. 今回, これら絨毛細胞の長期継代培養への試みとして, 各種 Growth factorが絨毛細胞の増殖に及ぼす効果を検討した. 正常妊娠5例, 奇胎妊娠3例の絨毛組織より細胞を得, また絨毛癌株 GCH-1を使用した. 培養に際し EGF, Insulin, IL-1, -2, -3, GM-CSF, PGE_1, PGE_2を種々の濃度で添加した. 細胞の増殖能はDNA合成能 (^3H-TdR uptake) を指標とし, 以下のような成績を得た. 1) 正常および奇胎絨毛細胞の培養には collagen coated dish と Ham's F-12 : Dulbecco's modified Eagle's medium (1 : 1) 混合培地が最適であつた. 2) 正常絨毛では EGF, IL-1, -2, -3, PGE_1, PGE_2単独添加群でDNA合成能の上昇はなく, Insulin, PDGF単独添加群で各々1.2倍, 1.7倍の上昇, EGF, Insulin, GM-CSF, PDGF同時添加群で最高の上昇をみ, 奇胎絨毛ではEGF単独添加群で上昇を認めた. 3) このようにして現在までに正常絨毛は12ヵ月 (5回継代), 奇胎絨毛は9ヵ月以上の培養が可能となつた. 以上, 正常および奇胎絨毛細胞の培養には細胞外基質としてcollagen, 増殖因子として PDGF, EGF, Insulinが有用であることを明らかにした. さらに, これらにより正常および奇胎絨毛細胞の長期培養の可能性が見出された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-06-01
著者
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