閉経後婦人に発生した上皮性卵巣腫瘍の病理組織学的,内分泌学的研究

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閉経後5年以上経過した上皮性卵巣腫瘍37例の血中Androstenedione、Estrone(E_1と略す)、Estradiol(E_2と略す)、Progesterone(Prog.と略す)を測定し、卵巣腫瘍、子宮内膜の病理組織学的所見との関連を検討した。Androstenedione陽性例(>83ng/dl)、E_1陽性例(>75pg/ml)、E_2陽性例(>30pg/ml)、Prog.陽性例(>0.6ng/ml)はそれぞれ、9例(9/16、56.3%)、9例(9/16、56.3%)、22例(22/29、75.7%)、14例(14/20、70.0%)であつた。これらの性ステロイドホルモン陽性率と卵巣腫瘍組織型、ならびに良性群、悪性群との間に明らかな相関は認められなかつた。Stromalcondensation(Stromalcellhyperplasia、以下St.Cond.と略す)陽性、陰性群それぞれの性ステロイドホルモンの陽性率は、Androstenedione72.7%(8/11)、20%(1/5)、E_1 72.7%(8/11)、20%(1/5)、E_2 89.5%(17/19)、62.5%(5/8)、Prog. 75%(9/12)、71.4%(5/7)であり、Prog.を除く性ステロイドホルモンの陽性率は、St.Cond.陽性群に高率であつた。子宮内膜所見で増殖性変化を示すものの頻度は、E_2陽性群82.4%(14/17)、陰性群14.3%(1/7)であつた(p=0.026<0.05、Fisher)。卵巣腫瘍で高値を示したこれらの性ホルモンの生成・分泌部位は、？卵巣腫瘍完全摘出例では、全例の性ホルモン値が術後2〜3週内に正常値に低下したこと、？Dexamethasone抑制試験で、Cortisol、17-OHCS、17-KSなどの副腎皮質ホルモンとは異なり、DHEA-S、E_1、E_2、Prog.の抑制率が著しく少なかつたこと、？HyperplasticstromalcellにE2の局在が認められたこと、などから、卵巣腫瘍であり、ことに卵巣腫瘍のHyperplastic stromal cellが性ホルモンの産生・分泌に深くかかわつていることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1986-05-01

閉経後婦人に発生した上皮性卵巣腫瘍の病理組織学的,内分泌学的研究

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