絨毛癌患者における抗リンパ球抗体,特に抗B細胞抗体の動態と臨床的意義
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概要
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近時,絨毛性疾患愚考,特に絨毛癌愚老の血中に出現する抗リンパ球抗体が,病態とのかかわりあいにおいて,どの様な免疫学的意義をもつかが解析されつつある.そこで,絨毛癌患老夫婦7組について,そのHLA分析を行うとともに,愚老血中抗体の性状,およびその動態と臨床病態との係わりあいを解析することを目的として,患者血清による夫リンパ球障害試験(CT)および夫婦間リンパ球混合培養抑制試験(MLR-blocking assay)を経時的に観察し,以下の成績を得た.1.HLA分析の結果,愚老および夫のいずれにおいても特徴的な抗原の出現ないし分布は認められたかった.2.患者血清の夫リンパ球に対する障害活性をみるためにCTを検索した結果,7例中3例が陽性を示し,そのうち1例は夫Bリンパ球に対して障害活性を示した.この障害活性は,臨床病態の改善とともに比較的早期に消失した.3.患者血清の夫婦間MLR抑制活性を解析するためMLR-blocking assayを検索した結果,抑制活性は,臨床病態の経過と相関し,血中β-HCGが高くcancer bearingであると判断される状態においては全例とも認められた.寛解5例中4例では,β-HCGが正常域に入ってからも4〜8ヵ月観察された後陰転化した.また,再燃例や死亡例では持続的に抑制活性が観察され,臨床的に寛解したと判断されてもなお抑制活性の認められる例では再燃の危険性のあることが示唆された.4.この抑制活性は,血清IgG分画にあり,夫のBリンパ球の表面抗原と密接な関連のある抗体に起因していることが推測された.以上の成績より,絨毛癌愚老の血中には,夫リンパ球,特にBリンパ球の表面抗原と関連のある抗体が存在しており,その活性はCTおよびMLR-blocking assayにおける活性として検出することができる.この抗体活性は,臨床病態と相関をなしていることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1983-12-01
著者
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金澤 浩二
琉球大
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金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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梶野 徹
新潟大
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竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
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鈴木 孝明
新潟県立小出病院産婦人科
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湯沢 秀夫
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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鈴木 孝明
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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梶野 徹
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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丸橋 敏宏
新潟大学医学部産科婦人科学教室
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鈴木 孝明
新潟大学 産婦人科
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丸橋 敏宏
新潟県立がんセンター新潟病院産婦人科
-
丸橋 敏宏
新潟大学医学部産科婦人科
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金沢 浩二
新潟大学医学部産科婦人科
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梶野 徹
新潟大学医学部産科婦人科
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湯沢 秀夫
新潟大学医学部産科婦人科
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鈴木 孝明
新潟大学医学部産科婦人科
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