子宮頚部Adenoma Malignumの臨床病理学的および組織化学的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
子宮頚部Adenoma Malignum 10例を対象に, その臨床病理学的および組織化学的検討を行った。比較対照として, 子宮筋腫などで摘出された10例の正常頚管組織と, Adenoma Malignumを除く高分化から低分化の頚部浸潤腺癌10例を用いた。1) 10例中7例に, 視診, 内診所見で大きくびらん状に腫大した腟部が, きわめて硬く触れるのが特徴であった。自覚症状では, 透明な帯下の増量が半数にみられた。2) 初診時細胞診の結果は, クラスIIが1例, クラスIIIが6例, クラスIVが1例, クラスVが2例であった。その細胞診像は, きれいな背景に20個以下の比較的少数の細胞が柵状, シート状あるいは不規則重積性に集合し, 豊富な細胞質をもち, ときに粘液空胞や核の偏在がみられるが, クロマチン増量, 核小体肥大, N/C比増大は稀にしか認められなかった。3) 術前の生検組織診では, 5例が異型腺上皮, 2例が腺癌の疑い, 2例が頚管炎, 1例が転移性腺癌であった。4) 粘液組織化学的染色としてHID-AB染色を行ったところ, HID染色陰性, AB染色陽性を示し, 正常頚管細胞とは異なり, 浸潤腺癌と同一な所見であった。また, CEA局在は, 部分的な陽性を含めて7例全例が陽性で, 正常頚管細胞が陰性を示したのと異なり, 全例陽性であった浸潤腺癌と同様の結果であった。このように, HID-AB染色およびCEA染色は, Adenoma Malignumの補助診断に有用であることが示唆された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-04-01
著者
関連論文
- Granulosa-theca Cell Tumorの内分泌学的, 臨床病理学的研究
- 343 テルロン内服が影響を及ぼしたと考えられたOHSS(卵巣過剰刺激症候群)の1例
- 子宮頚部Adenoma Malignumの臨床病理学的および組織化学的検討
- 子宮頚部腺癌早期診断上の問題点
- 部分胞状奇胎の臨床病理学的研究
- 新潟県における子宮腫瘍地域登録成績
- 肺絨毛癌の臨床病理学的研究 : hCG測定系(HAIR,β-hCG-CTP-EIA)の臨床的意義との関連
- 子宮頸部Adenoma malignumの細胞診とその臨床病理学的検討
- 閉経後婦人に発生した上皮性卵巣腫瘍の病理組織学的,内分泌学的研究