妊娠の生理及び病理におけるPregnancy specific beta-1-glycoprotein (SP1)の動態
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概要
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妊娠蛋白の一つであるSP1について,その産生部位及び妊娠の生理及び病理における動態並びに生物学的意義について,正常妊婦151例,褥婦85例,流産72例,胞状奇胎17例,妊娠中毒症10例,双胎5例,子宮内胎児死亡10例を対象としで検討し,以下の成績を得た. 1) 正常及び奇胎絨毛におけるSP1の特異蛍光は合胞細胞の細胞質に強くみとめられた. 2) SP1は妊娠前期で5mg/dl以下の低値を示すが妊娠中期では妊娠の進行と共に増加し,妊娠9ヵ月にplateauに達し,その後は分娩までその状態が持続していた.分娩後15mg/dl台から急激に減少し,産褥5日目には5mg/dl以下に低下した. 3) 不全流産例では正常妊娠に比し低値を示し,妊娠の進行と共にその差は大きくなつていつた.また切迫流産例では正常妊娠とほぼ同様の傾向を示すが低値例の多くは予後不良であつた. 4) 奇胎例ではばらつきが大きいが妊娠3, 4ヵ月では正常妊娠に比し高値を示し,5ヵ月ではやや低値の傾向を示した. 5) SP1は重症妊娠中毒症,子癇例及び子宮内胎児死亡例は正常妊娠値に比し低値を示し,双胎例では高値であつた. 6) SP1にはリンパ球のPHAによるBlastoid化に対する抑制作用はみとめられなかつた. 7) 分娩時及び妊娠39週以降の妊婦血清中におけるSP1量とHPL値との間に有意の相関がみとめられた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-04-01
著者
-
徳永 昭輝
新潟大学 大学院医歯学総合研究科
-
高橋 京子
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 正七
新潟大学医学部産科婦人科
-
樋口 正臣
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
徳永 昭輝
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
春名 宣之
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
竹内 裕
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
尾崎 進
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
岩田 桂子
新潟大学医学部産科婦人科学教室
-
尾崎 進
水原郷病院産婦人科
-
樋口 正臣
相模原協同病院産婦人科
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