下垂体前葉に対するLH-RHのself-priming effect における生理学的意義
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概要
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下垂体前葉のLH-RHに対する感受性をLH-RH自身が増大させる減少は,self-priming effectと呼ばれ,LH surgeを中心とした排卵現象に重要な役割を演じていることが論じられている.本研究では,10週齢のSprague-Dawley系雄ラットを対象に,合成LH-RH400mgを60分間隔で2回負荷し,血清LH値,下垂体前葉中LH含量および前葉gonadotroph中の分泌顆粒数の変化について検討した.さらに,前二者においてはActinomycin-Dの前処置による影響も観察した.1.本法によるラット血清gonadotropin値の変動において明らかなself-priming effectを認めたが,Actinomycin-Dの前処置群では優位に抑制された.2.上記ラット前葉中のLH含量は初回の刺激によって有意に減少するが,第2回目の刺激直前には再び有意に回復した.また,第2回目の刺激後は急激な上昇を示す2nd responseにもかかわらずLH含量の減少は軽度であった.Actinomycin-Dの前処置群ではこのLH含量の回復は有意に抑制された.3.電顕を用いてラット前葉gonadotroph内の動態を観察するとLH含量の変化と相関して分泌顆粒数は変動した.形態学的には刺激15分後には分泌顆粒の細胞側への移動を認め,また60分後ではGolgi complexは拡張しこの細胞内小分泌器官は蛋白合成促進の像を示した.上記結果は初回と第2回のLH-RH刺激に対する前葉の細胞内機構の差,すなわち,二相性のgonadotropin反応の第二相には初回の刺激によって新たに合成された成分が含まれる可能性を示唆した.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-04-01
著者
-
福岡 一樹
聖母病院
-
飯塚 理八
慶應義塾大学
-
関 隆
平塚市民病院
-
飯塚 理八
慶應義塾大学医学部産婦人科
-
高橋 守
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
-
牧野 恒久
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
福岡 一樹
慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
-
高橋 守
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
鴨内 征夫
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
福岡 一樹
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
関 隆
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
飯塚 理八
慶慮大
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