卵巣全摘後の骨塩量減少に対するAlfacalcidolの効果について : MD法の各実測値による検討

概要

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骨粗鬆症はいまや日本全国に400万人を超える罹患者が存在すると想定されており, その治療法の確立は急務となっている。しかしその治療法は本症が複合的な成因によるため, いまだ確立されていない。しかし近年老人性骨粗鬆症に対しては活性型ビタミンD_3 (D_3) の有効性が確立されつつある。そこで60歳未満 (平均年齢48.4歳) の比較的若年者で卵巣全摘出 (卵摘) 後に骨塩量の減少を認める者 (MD法総合評点で4点以上) 24例を対象とし, D_3の効果をMD法で得られる実測値の平均増減率にて検討を行った。研究対象は投与群と非投与群に各12例ずつ無作為的に分類し, 投与群にはD_3としてAlfacalcidol 1μg/日を平均9.67カ月投与し, 投与前後でMD法と血清Al-p, Ca, Pを測定した。非投与群は平均9.92カ月観察し, その前後で同様のパラメータを測定した。なお, 両群は年齢, 身長, 体重, 卵摘後期間, 骨塩量の減少程度等, その背景因子は統計学的に有意差を認めなかった。その結果, 投与群は投与前後において, (1) MCIの増加およびdの減少傾向を認めた。(2) GSminおよびΣGS/Dも増加傾向を認めた。(3) GSmaxは有意に増加傾向を認めた (p<0.10)。(4) 全例高Ca血症等の副作用はなかった。次に非投与群は観察前後で, (1) MCIの減少, dの増加傾向を認めた。(2) GSminおよびGSmaxも減少傾向を認めた。(3) ΣGS/Dは有意に減少傾向を認めた (p<0.05)。さらに群間比較において, (1) GSmaxは投与群の方が有意に増加傾向を示した (p<0.05)。(2) ΣGS/Dも同様に投与群の方が有意に増加傾向を示した (p<0.10)。さらに測定誤差を超えて増減したものが投与-非投与間で差異があるかについても検討し, その結果投与群は非投与群に比し, 骨塩量の減少を有効に阻止することが判明した。またMD法の測定誤差や再現性について考察を加えるとともに1α-OH-D_3の骨塩量改善効果ならびに卵摘後の骨塩量減少例にいかなる機序で効果を発揮したかについても論じた。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1989-05-01

卵巣全摘後の骨塩量減少に対するAlfacalcidolの効果について : MD法の各実測値による検討

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