閉経前卵巣全摘出例におけるDual Photon Absorptiometry法による全身骨密度分析 : 骨密度減少部位と卵摘後期間を中心として
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概要
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卵巣全摘出(卵摘)により骨密度が低下することはよく知られている. われわれは卵摘例の腰椎海綿骨部QCT値は対照例に比し, 有意に低値を示し, 同時に検討を加えたMD法による中手骨骨密度も対照例に比し, 有意に低値を示したが, 腰椎のQCT値ほどの低下はみられなかったことから, 卵摘は末梢皮質骨よりも躯幹海綿骨の方をより減少させると報告^<3)>してきた. しかしMD法とQCT法の測定感度の差が上記の結果をもたらした可能性も否定はできないので, 今回は同一対象に対し, Dual Photon Absorptiometry (DPA)法を用いて全身骨密度分析を一挙に行い, 卵摘はいかなる部位の骨密度を減少させるかについて再検討を行った. また卵摘による骨密度の減少は卵摘後どの位の時期にどの部位に認められるかについても併せて検討を行った. 対象は平均46.8±4.0歳(39〜53歳)の卵摘例21例と平均44.7±5.0歳(36〜53歳)の未閉経例19例, 計40例とし, Lunar社製DP-4を用いて全身骨密度の測定を行った. その結果, 卵摘例の頭蓋骨, 上肢骨, 下肢骨, 脊椎骨の各骨密度は対照例の各骨領域の骨密度に比し, 有意な低値を示した. さらに卵摘例の各骨領域における骨密度を比較すると(対照例の対応する各骨領域における平均骨密度に対する百分率にて検討), 脊椎骨骨密度は87.0±2.4%であり, これは上肢骨(97.2±1.2%)や下肢骨(95.4±1.6%)に比し有意に低値であった(p<0.01). したがって, 同一の測定法(DPA法)により, 同時に全身の骨密度を測定した結果からも, 卵摘による骨密度の減少は脊椎骨を主体とすることが再確認された. また卵摘後期間により1年以内, 2〜5年, 6年以上と3群に分けて各骨領域別骨密度を検討したところ, 脊椎骨では1年以内より減少傾向を認め, その後も持続を認めた. 一方, 他の部位では1年以内の減少は認められず, 上・下肢骨では6年以上経てからの減少が著明であった. 以上より部位により減少の開始と持続が異なることも推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-02-01
著者
-
飯塚 理八
慶応大 医
-
太田 博明
東京電力病院産婦人科
-
飯塚 理八
慶應義塾大学医学部産婦人科
-
根本 謙
東京電力病院産婦人科
-
野澤 志明
慶鷹義塾大学医学部産婦人科学教室
-
飯塚 理八
慶鷹義塾大学医学部産婦人科学教室
-
太田 博明
Department Of Obstetrics And Gynecology Tokyo Women's Medical University
-
飯塚 理八
慶慮大
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