閉経に伴う骨塩量と骨代謝動態の変化
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概要
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骨粗髭症は閉経後の女性に多発するところから, 高齢者の老人性骨粗髭症とは区別して, 閉経後骨粗髭症と特別に称している. この閉経後骨粗髭症のメカニズムの解明を試みた多くの知見が報告されているが, 必ずしも閉経の有無を厳密に区別しているとは限つていない. また年齢と体格を完全にマッチさせて, 閉経の有無と中手骨の骨塩量の差異および骨代謝動態を論じたものはなかつた. そこで, 50歳から54歳の閉経者41例(平均閉経後期間39.3ヵ月)と対照群として未閉経者28例, 計69例を対象としてMD法を施行し, 閉経による中手骨骨塩量減少の有無をまず検討した. 次にその背景には閉経によりいかなる骨代謝動態の変化があるかを検討した. その結果, 閉経により中手骨の骨密度(GSmin,ΣGS/D)を中心に著明な骨塩量の減少を認めた. その減少率はGSminが最大で, 年間5.1%に相当した. またAlpおよびosteocalcinは閉経群が有意に高値を示し, U-Ca/cr比は閉経群が高値傾向を呈した. Ca調節ホルモンのPTHやcalcitoninは両群間で差異を認めなかつた. またestroneおよびestradiolは閉経群が有意に低値であつた. 閉経後期間と各骨代謝動態の指標間では, Alpが正相関(r=0.4684), U-Hydroxyproline (Hpr)/cr比が負相関(r=-0.5332)を呈した. 以上より,閉経による骨塩量減少機序はestradiolによる骨吸収抑制不全, すなわち骨吸収の亢進を主体にして生じ, Ca調節ホルモンの直接的関与は認められなかつた. また閉経後期間と共にAlp値は高値となるが, 一方U-Hpr/cr比は低値となるところから, 本研究の閉経後期間(3〜113ヵ月)では閉経後期間につれて骨代謝回転は低下しつつあることが推察された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-09-01
著者
-
野澤 志朗
慶應義塾大学
-
飯塚 理八
慶応大 医
-
太田 博明
東京電力病院産婦人科
-
飯塚 理八
慶應義塾大学
-
飯塚 理八
慶應義塾大学医学部産婦人科
-
根本 謙
東京電力病院産婦人科
-
飯塚 理八
慶慮大
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