CRF負荷試験を用いた更年期障害および性腺機能不全症の内分泌学的分析

概要

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更年期障害における内分泌学的背景の一端を解明するために, 50μgのCorticotropin releasing factor (CRF)を静注後, 血中adenocorticotropic hormone (ACTH), β-lipotropin (β-LPH)およびβ-endorphin(β-EP)の反応性を経時的に測定するCRF負荷試験を施行し, 他の性腺機能不全症と比較し, さらにいくつかの関連ホルモンを測定し検討した結果以下の見解を得た. 1) 閉経後gonadotropinは上昇し, LH-RH負荷試験の反応性も増加し比較的後期まで反応性は高い. CRFに対する反応性も閉経後亢進するが, これは卵巣摘出後に反応性が亢進することと一致しており, 性腺機能不全症のgonadectomy後にも同様の結果が得られた. 2) 長期の低estrogen 状態のもとではCRFに対する反応性は次第に低下するが, 性腺機能不全症でも同様の結果が得られた. 3) 一方更年期不定愁訴を有する婦人では, CRFに対する反応性は閉経後もより高い傾向を示したが, これはストレス反応を示唆するものと思われた. さらにKupperman Index (K.I)で高値を示す群, およびhot flushをより強く訴える群でCRFに対する反応性はより高く, 症状の強さを反映するとともに, hot flushとの関連性も示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1990-06-01