卵巣全摘出による骨塩量減少症の病態解析 : QCT法およびCa調節ホルモンを中心として
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概要
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卵巣全摘出(卵摘)による骨塩量の減少をMD法^<1)>ならびにquantitative computed tomography (QCT)法^<2)>により補捉し, その減少形態は高回転型であろうと報告^<3)>してきたが, その病態や機序の詳細についてはいまだ十分には解明されていない. そこで, 卵摘者16例と対照群として未閉経者24例, 計40例(39〜54歳)を対象として, 卵摘により骨塩量の減少を来すのは末梢骨か躯幹骨か, また海綿骨か皮質骨かを末梢皮質骨である中手骨をMD法により, また躯幹骨である腰椎骨の海綿骨と全体をintegral法を併用したQCT法により, ほぼ同一時期に骨塩量を測定し, まず検討した. 次に卵摘による骨塩量減少には生化学および内分泌学的検査項目のうち, 何が関与しているのかを骨形成・骨吸収の指標であるAlp, osteocalcin, U-Ca/cr, U-Hydroxyproline/crとCa調節ホルモンのparathyroid hormone, calcitonin, vitamin Dおよびestrone, estradiolの各値の変動より検討した. その結果, 卵摘による骨塩量減少は末梢骨骨塩量よりも躯幹骨骨塩量を主体に減少せしめ, 躯幹骨の中でも海綿骨をとくに減少せしめることが判明した. さらに卵摘による骨塩量減少形態は高回転型の代謝回転に起因し, 骨吸収と骨形成のuncouplingによることが推察された. この骨代謝動態にはestadiol が深く関与し, 骨吸収抑制もさらに加わることも推測された. しかし平均卵摘後期間39.63ヵ月を対象とした本研究では上記Ca調節ホルモンの3種は卵摘の有無により有意差を認めず, 卵摘による骨代謝動態に直接関与していないのではないかと推測された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1989-09-01
著者
-
野澤 志朗
慶應義塾大学
-
飯塚 理八
慶応大 医
-
太田 博明
東京電力病院産婦人科
-
飯塚 理八
慶應義塾大学
-
飯塚 理八
慶應義塾大学医学部産婦人科
-
根本 謙
東京電力病院産婦人科
-
飯塚 理八
慶慮大
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