ヒト体外受精における新しいhCG投与時期決定法 : 血清LH値の重要性

概要

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ヒト体外受精における, 血清LH値に基づく新しいhCG投与時期決定法を考案し, その有効性を検討した。月経周期第3日より連日hMGを投与するとともに, その直前に血清LH値を迅速測定した。LH値は, 最初徐々に低下した後, 上昇に転じ, LHサージに移行した。そこで, 最低値+ (第3日値-最低値) ×1/3を域値 (J値) とし, 卵胞径やestradiol値にかかわらず, LH値が初めてJ値を越えた日の夜にhCGを投与した。このhCG投与法により, 治療周期あたり妊娠率35% (ongoing: 27%) を得た。また, このhCG投与日より1日早く (LH≦J値) 又は1日遅く (J値を越えた日の翌日) に, hCGを投与すると, 妊娠率が低下することが示唆された。LH値に基づくこのクライテリアでhCGを投与すると, hCG投与日の卵胞径は14〜21mmで, estradiol値は229〜2,050 pg/mlで妊娠が得られ, 卵胞径及びestradiol値の至適範囲が広いことが示唆された。LH値変動に基づく新しいhCG投与時期決定法は, 簡便・迅速でありながら優良な妊娠率が得られ, その有用性が期待される。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-11-01