臍帯動脈拡張期逆流波形が認められた症例に対する急速遂娩術の効果について

概要

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胎児臍帯動脈の血流速度波形における拡張期逆流現象の出現はその児の危機的な状態を示すとされ, そのまま経過観察した場合, 50%以上の周産期死亡が報告されている。しかし, 拡張期逆流現象が出現したときの児の取扱いについての検討はいまだ多くはなされていない。今回我々は, 臍帯動脈拡張期逆流現象が出現した児に対し原則として急速遂娩術を施行し, その母体高血圧症, ノンストレステスト所見, 生下時体重, アプガール値, 新生児経過につき検討を行った。臍帯動脈拡張期逆流波形が出現した7症例では, 診断時平均妊娠週数32.3±1.9週, 高血圧症の合併頻度43%, 出生体重平均1,142±432 gで, 諸家の報告例とほぼ同様の条件と考えられた。それに対し, 周産期死亡は経過観察中に子宮内胎児死亡となった重度奇形症例の1例のみであった。また, 生産児6例において5分後アプガール値7点以下の仮死児発生率は33%で, 周産期死亡率, 仮死児発生率ともに諸家の報告に比し少なかった。また, ノンストレステストでは重度奇形症例の1例を除き全例ノンリアクティブであった。基線細変動の減少, 一過性徐脈の出現等胎児仮死徴候が認められたのは2例であり, これらは急速遂娩術を施行したにもかかわらず他の4例に比べアプガール値が低値であった。以上の結果より臍帯動脈逆流波形出現時にただちに急速遂娩術を施行することは, 周産期死亡率の低減, 仮死児の発生予防に有効であることが示唆された。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-12-01

臍帯動脈拡張期逆流波形が認められた症例に対する急速遂娩術の効果について

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