ヒト体外受精における精子形態分析の重要性

概要

論文の詳細を見る
ヒト体外受精において, 男性因子の有無は, 成功を左右する重要なポイントである. そこで, 体外受精218周期において, 精子形態が胚移植率・妊娠率・流産率に及ぼす影響を検討した. 精子形態は, Kruger et al.の strict criteria (1988)を一部修正した基準により評価し, 正常形態率 (%strictly normal morphology, %SNM)を得た. 体外受精218周期を, %SNM≧40%(69周期), 40%>%SNM≧12%(123周期), %SNM<12%(26周期)の3群に分けた. 各群における胚移植率・妊娠率(対周期)・流産率(対妊娠)は, %SNM≧40%で81%・39%・19%,40%>%SNM≧12%で71%・24%・30%,%SNM<12%で58%・7・7%・50%であつた. %SNMが低下するにつれ, 妊娠率は有意 (p<0.01)に低下し, 流産率は上昇の傾向が示唆された. 精子形態は, 体外受精の結果と重要な関連をもち, その%SNMによる評価は, 結果の予測に有用と考える.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1992-02-01