マウス精子受精能獲得過程におけるEpidermal Growth Factor(EGF)の作用
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概要
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哺乳類精子の受精能獲得過程における生化学的調節機構については, 今のところ, ほとんど解明されていない. 今回我々は, epidermal growth factor (EGF)のマウス精子受精能獲得に対する作用について検討した. 12〜15週齢のddY系雄マウスの精巣上体尾部より採取した精子塊を, 4mg/mlウシ血清アルブミン(BSA)含有modified Krebs Ringer bicarbonate buffer (m-KRB)中で5分間培養し, 精子懸濁液を作成した. 懸濁液上層にswim upした精子を採取し, 100ng/ml EGF含有m-KRB(1〜2×10^6 cells/ml)中で培養し, この時点を0として, 経時的に90分までの精子の受精能獲得について対照群と比較検討した. また, ゲニスタインや, 12-O-tetradecanoyl phorbol 13-acetate(TPA), thapsigarginによる, EGFの作用に対する修飾の有無についても検索した. マウス精子の受精能獲得はchlortetracycline (CTC)螢光法を用いて観察した. 100ng/ml EGFによってBパターンを示す精子は, 培養後15分ですでに約45%に達し, 著明な受精能獲得促進作用を示した. また, EGFの促進作用は0.1pg/mlの濃度では, 対照群と有意な差は認められなかった. さらに, 20μg/mlのゲニスタインや, 100ng/mlのthapsigarginによって, EGFの促進作用は減弱したが, TPAによる作用は認められなかった. 以上の結果より, マウス精子受精能獲得は, EGFによって促進し, その作用発現の調節に蛋白質のリン酸化反応が関与していることが示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1993-11-01
著者
-
野澤 志朗
慶應義塾大学
-
野澤 志朗
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
古屋 悟
練馬総合病院産婦人科
-
遠藤 芳広
遠藤クリニック
-
大庭 三紀子
森永乳業生化研
-
伊藤 武夫
東京衛生病院産婦人科
-
鈴木 秋悦
慶應義塾大学医学部産婦人科学教室
-
鈴木 秋悦
慶応大
-
鈴木 秋悦
慶応大 医
-
野澤 志朗
慶応義塾大学産婦人科学教室
-
鈴木 秋悦
慶應義塾大学
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