反復自然流産における各原因頻度の統計的検討

概要

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比較的多数の反復自然流産の症例から不育症の原因頻度を統計的に検討した。1,317名の対象婦人の初診時平均年齢は31.4歳, 平均流死産回数は2.9回であった。不育症のいわゆるルーチン検査を施行したところ, 1,200例の子宮卵管造影後, 188例 (15.7%) に何らかの子宮内腔形態異常を認め, このうち, ほかに大きな異常を認めない71例に子宮形成術を施行し, 術後妊娠の約84%に満足すべき妊娠維持結果を得た。染色体変異を含む染色体異常は949組, 1,898名について検討したところ, 100組 (10.5%), 104名 (5.5%) に何らかの異常を認めた。近年, 不育症原因検索に導入された抗リン脂質抗体の有無について, Harrisの標準血清を用いた抗カルジオリピン抗体について検討したところ, 148名の婦人のうち12名 (8.1%) に陽性者を認めた。ほかに主要な原因を認めない473組の夫婦に夫リンパ球を用いる免疫療法を施行したところ, 約80%の症例に妊娠維持に成功した。本研究で得られたいくつかの臨床統計は不育症治療の一つの参考になるものと思われる。
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1991-12-01