在宅看護論実習前のロールプレイにおける看護内容評価と教育的効果
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概要
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72歳の男性で脳梗塞後遺症・片麻痺を残した退院直後の事例を用いて在宅看護技術のロールプレイを行い,学生11グループのレポートをもとに援助内容を12分野に分類し,実施した援助内容,不足した援助内容,情報の利用状況,ロールプレイ後の学生の意見を分析した.実施した援助内容は167項目,不足した援助内容は91項目であり,援助ニーズ258項目のうち,65%を実施していた.援助ニーズの分野別比率は,「療養者へのケアの実施(27%)」「療養者のアセスメント(18%)」「家族への精神的援助(15%)」「訪問看護の役割(11%)」が多かった.学生が実施できた割合が多かった分野は「家族への指導(88%)」「訪問看護の役割(82%)」「療養者へのケアの実施(81%)」「療養者の同意を得る(67%)」「療養者のアセスメント(64%)」であり,不足した割合の多い分野は,「情報の共有(88%)」「協働者との連携(67%)」「経済的間題(100%)」などであった。学生は「療養者へのケアの実施」において,状況観察,安全安楽への援助,患者保護は実施していたが,ADLの改善,残存機能の活用,ケア中の声かけ,プライバシー保護は不足していた.「療養者のアセスメント」では,実施していたアセスメントはバイタルサイン,体調変化,ケアによる身体面の影響であったが,病状,苦痛,習慣,1日の活動内容に関するアセスメントは不足していた.情報の利用状況では,療養者の身体面や生活についての情報,介護者の情報は利用できていたが,ケア計画や療養者のライフヒストリーの活用は少なかった.ロールプレイに関する意見では,「訪問看護の役割」「家族へのかかわりの重要性」を学び「実習への展開につながる」「動機づけとなった」と評価していた.Role-playing sessions were conducted by nursing students in preparation for community nursing practices. The case used was a 72 year-old man suffering from paralysis, an after-effect of stroke, who had just been discharged from hospital. In the role-playing sessions by 11 student groups, 167 kinds of nursing practices in twelve classified fields were practised by students and other 91 kinds of nursing practices identified to be necessary were not practised by them. The nursing needs were consisted of care for the patient (27%), assessment for nursing needs of the patient (15%), psychological support for family (15%), role of community nursing (11%), and so on. Students could do 65% of nursing practices needed. Students could practice 88% of instruction for family members, 82% of role of community nursing, 81% of care for the patients, 67% of consensus building from the patients, and 64% of assessment for nursing needs of the patients. Practices students could not do were 88% of sharing necessary information, 67% of co-ordination for other staff, and 100% of consulting for economic problems. Collecting information and assessment on situation of illness and pain, of daily activities and of life history of the patients were poorly practised. Most students positively evaluated these findings in the role-playing sessions to be helpful to conduct real practices in community nursing.
著者
-
門司 和彦
宮崎大学医学部社会医学講座公衆衛生学分野
-
中尾 理恵子
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻
-
中尾 理恵子
長崎大学医学部保健学科
-
鷹居 樹八子
長崎大学医療技術短期大学部看護学科
-
石原 和子
長崎大学医学部保健学科
-
門司 和彦
長崎大学熱帯医学研究所 熱帯感染症研究センター
-
鷹居 樹八子
長崎大学医学部保健学科
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