精神看護学実習前後における看護学生の意識変化に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
看護学2年次生の精神保健授業の課題レポートのシュヴィングの体験書「精神病者の魂への道」に記述された内容をKJ法に基づいて否定的要因と肯定的要因に抽出した.3年次に進学してからの精神看護学の実習を通して,否定的要因と肯定的要因にどのような変化をもたらしたかを明らかにするために質問紙法による調査を行った.さらに,学生のエゴグラム(egograms)や自尊感情(self-esteem)との関係についても検討した. 実習前後の平均値において,否定的要因である不安,患者恐怖は実習後に有意に低くなった.一方,肯定的要因の援助的欲求も実習後に低くなった.しかし,興味(関心)は,実習後に高くなった.さらに,学生のエゴグラムや自尊感情と否定的要因と肯定的要因との関係について分析した.学生のエゴグラムでは実習の前後における変化は見られなかったが,自尊感情の消極的自尊感情は実習後の平均値が有意に高くなった.実習後に援助的欲求が低くなったことと消極的自尊感情が高くなったことの関係において,実習体験を通して学生は自己洞察を深める機会になっていたと推察された.Positive and negative factors were determined using the KJ method described in the report " Ein Weg zur Seele des Geisteskranken " by Schwing based on the findings of a mental health class taken by the second-year students in the nursing department of the School of Allied Medical Sciences Nagasaki University. In the third-year, changes in positive and negative factors after classes on psychiatric nursing were identified based on a questionnaire survey of the same students, and the self-esteem of the students was also evaluated. After the classes, the mean scores of anxiety and fear in patients, which are negative factors, and of the desire to assist the patients, which is a positive factor, significantly decreased, however, interest in the patients, which is a positive factor, increased. Concerning the relationship between the positive and the negative factors based on egograms and the self-esteem of the students, egograms showed no changes before or after the above classes, however, the degree of passive self-esteem significantly increased after the classes. The association between the decreased desire to assist patients and the increased degree of passive self-esteem suggests that these psychiatric nursing classes enabled the students to deepen their self-insight into the nurse-patient raletionship.
- 長崎大学の論文
著者
-
今中 悦子
香川医科大学看護学科
-
石原 和子
長崎大学医療技術短期大学部
-
鷹居 樹八子
長崎大学医療技術短期大学部看護学科
-
石原 和子
長崎大学医学部保健学科
-
大熊 恵子
聖路加看護大学大学院博士前期課程
-
田辺 裕子
長崎大学医学部附属病院看護部精神科神経科病棟
-
二之宮 実知子
大分医科大学医学原研究科看護学専攻修士課程
-
今中 悦子〔他〕
香川医科大学看護学科
-
大熊 恵子
聖路加看護大学大学院
関連論文
- 公開講座の展開と評価 -「家庭における介護技術」坂道地域に住む人々への在宅支援-
- 在宅看護論実習前のロールプレイにおける看護内容評価と教育的効果
- 離島集団検診における未受診者の課題
- 在宅酸素療法患者のADL評価とSpO2モニタリングによる生活活動調査
- 看護学生のインフォームド・コンセントの認識と看護者の役割に関する研究 -臨地実習における意識の変化-
- 肺がん患者のインフォームド・コンセント(Informed Consent = IC) と看護婦の役割
- 精神看護学実習前後における看護学生の意識変化に関する研究
- 離島集団検診における未受診者の課題
- 内科治療領域における臨地実習の展開と学生による自己評価
- 女子学生のボディ・イメージとBMIとの関係
- 老人保健施設入所者への生活史聴取とナラティブベースト・ナーシング
- 人工内耳装用者の生活実態調査
- 看護学生のインフォ-ムド・コンセント(IC)に関する意識調査 -実習前後における意識変化-
- 看護学生に対するB型肝炎ワクチン接種成績
- 入学時の体験学習における学びの分析 : 医学科との合同学習によるチーム医療の学び
- 空気・飛沫感染患者の院内感染防止 : 肺結核患者の血液浄化療法2事例の報告から
- 医学生と看護学生の合同演習前後での医師・看護師に対するイメージの変化
- 看護学科・理学療法科・作業療法科学生の医療専門職に対するイメージの変化 -卒業生の講話とグループワークを通して-
- 臨地実習中における看護学生の"ヒヤリハット"体験
- 疾病・健康の概念と看護の役割
- 看護婦のインフォームド・コンセントの認識と役割行動に関する研究
- 「最終講義」 "いのちの看とり-がん看護を通して"
- 肺がん患者からの質問と看護師が必要と認識する患者教育
- 肺がん患者の学習ニーズに関する研究
- 外来における頭頚部がん患者, 家族の看護に関する研究
- 「がん看護特論」の授業概要と看護学生による授業評価
- ''I Can Cope''プログラム 米国・ミネソタ視察研修に参加して
- 合同模擬演習に対する看護学生と医学生の捉え方の相違 -合同模擬演習後の自由記載の分析から-
- 模擬患者(SP)を導入したロールプレイ演習に対する看護学生の評価
- 投稿 ナースのがん告知に関する意識調査
- 看護学生のインフォームド・コンセント(IC)に関する意識調査 : 実習前後の意識変化
- 3 緩和医療とターミナルケア(III 地域医療)