児童・生徒の空間思考の発達に関する研究: 調査に基づく発達的指標についての一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は, 小学~高校生を対象にした調査をもとに, 立体・空間に関する課題遂行における生徒の空間思考の諸特性を明確にし, 発達的指標を捉え, 空間思考の育成を視座においた空間図形教育を目的とする。本稿では, 近接領域の問題を中心に, 反応の基本集計, 児童・生徒のかく図・記号表示, インタビュー内容を分析し, 次の発達的指標を抽出した。N. 無反応または意味不明の反応 A. 対象を図の全体的形やみえによって, 視覚的に静止的に捉えて反応する。B.対象を物的に捉え, 手などを使って物理的操作に類似させる。「物理的操作」は空間像の操作の源になる。C. 構成要素で把握される対象の空間像の操作を行う。対象の部分への焦点化, 視点の変更が現れる。D. 対象の構造・空間関係を保つ操作の空間像にもとづく。対象の焦点化, 空間像の次元の変化及び像のきり換え操作を伴う。操作そのものへの焦点化に向かう。E..幾何的変換, 投影, 操作のアルゴリズム化または論理的推論にもとづく。子どものかく多様な図・記号表示は, 指標CとDで主に用いられ, 操作の結果の予想, 操作と結果または対象の構造との関係づけの分析や確認などに用いられる。The main purpose of this study is to clarify students' developmental milestones of spatial thinking on the basis of surveys for elementary, junior and senior high school pupils. From reference to Piaget, J. about mental images, Якиманская И.С. about spatial thinking, Duval R. about visualization and Gorgorio, G. about the functionality of visual and non-visual strategies, 6 points of view of investigations are set up as follows. ① Mental images of 3D-geometrical objects. ②The 3 types of mental operations: Ⅰ. Mental operations which change image's position and/or orientation, as spatial rotation, and so on. Ⅱ. Mental operations which change image's structure, as projection, cross-section, un-folding, folding back and so on. Ⅲ. Composition of the types Ⅰand Ⅱ. ③ Flexibility of mental operations among different (visual, symbolic or verbal) representation forms and among different types of drawings, as sketch, developed drawing, orthogonal views, and so on. ④Drawing 2D-visual representation of 3D-geometrical objects,. ⑤ldentification of spatial orientation. ⑥Change of points of view and their integration. In the first survey(1998) 7 spatial tasks and in the second(1999) 7 tasks were conducted. Qualitative data were obtained through clinical interviews and students' drawings. Quantitative data and Qualitative data were analyzed. Students' developmental milestones of spatial thinking can be prescribed as follows. N. No responses or meaningless. A. Perceptual and static interpretation of 2D-visual representation of 3D-geometrical objects. B. Physical manipulation of something like materials using his/her hands. C. Mental operation of image which is composed of components of a 3D-geometrical object. Focusing on only some parts or some component and changing of view-points of the object appear. D. Mental operation of image which maintains spatial structure of 3D-geometrical object. Focus on only some parts or some component and change of view-points of the object and their integration and dimensional change of image:from 3D to 2D and from 2D to 3D, and towards 0D. Mental operation amonge 3D- and 2D-images, and so on. E.. Geometrical transformation, projection, algorithm of mental operation or/and logical argument. Mental operation is done very quickly and adequately. In C and D students analyze using drawings of various visual representation forms, but in Eusually not use them.
著者
-
井上 正人
高槻市立西大冠小学校
-
狭間 節子
大阪教育大学
-
橋本 是浩
大阪教育大学
-
赤井 利行
広島大学附属小学校
-
東尾 晃世
河内長野市立千代田小学校
-
荊木 聡
貝塚市立第三中学校
-
中西 正治
美原町立西中学校
-
加波 忠弘
大阪市立茨田北中学校
-
吉武 進
大阪教育大学附属高等学校平野校舎
-
坂本 宏和
美原町立西中学校
-
田中 正男
大阪府立西淀川高等学校
-
橋本 是浩
数学教育講座
-
荊木 聡
大阪府貝塚市立第五中
-
東尾 晃世
河内長野市立天野小学校
関連論文
- 児童・生徒の空間思考の発達に関する研究: 調査に基づく発達的指標についての一考察
- J14 児童・生徒の空間思考に関する調査研究(2) : 空間思考の発達的指標についての一考察(J 学習・認知・理解,論文発表の部)
- 算数学習における理解過程に関する研究(III) : 第5学年における「台形の面積の求め方」を中心に
- F5 Webページ作成を活用した数学の指導 : 多様な解法(別解)を題材にして(F テクノロジー(コンピュータ・電卓・情報教育),論文発表の部)
- 小学校教員養成課程における数学教材の研究 第2報
- 幾何教育の復権(第4報)
- J14 児童・生徒の空間思考に関する調査研究(2) : 空間思考の発達的指標についての一考察 (第33回数学教育論文発表会発表論文要約)
- J6 中学生の空間思考に関する調査研究 : インタビュー調査にみられる生徒の思考の特性(J 学習・認知・理解,論文発表+ポスター発表の部)
- 空間思考に関する調査研究(3) : 中・高校生に対する調査結果の分析・考察(10.認知と情意,口頭発表の部)
- ホームページ作成を用いた高等学校数学の指導法の開発
- J2 小学生の空間思考に関する調査研究 : インタビュー調査に見られる子どもの変容(J 学習・認知・理解,論文発表+ポスター発表の部)
- 空間思考に関する調査研究(2) : 小学生に対する調査結果の分析・考察(10.認知と情意,口頭発表の部)
- 生徒がもつ文字のイメージ : 予備調査の結果より
- 小学校における到達目標について : 到達目標による指導内容の分類(「到達目標の明確化」について)
- 図形教材の実践的系統化(WG4【図形・幾何/測定】,「課題別分科会」発表集録 今後の我が国の数学教育研究)
- カリキュラム研究元年
- 小学校における実践課題 : 図形・測定について(WG4【図形・幾何/測定】,今後の我が国の数学教育研究,「課題別分科会」発表集録)
- D13 小学生の空間思考に関する調査研究III : インタビュー調査に見られる2年間の変容(D.【図形・幾何/測定】,論文発表の部)
- J1 小学生の空間思考に関する調査研究(II) : インタビュー調査に見られる子どもの変容 (第33回数学教育論文発表会発表論文要約)
- J1 小学生の空間思考に関する調査研究(II) : インタビュー調査に見られる子どもの変容(J 学習・認知・理解,論文発表の部)
- 21世紀の算数科授業の方向(新しい算数・数学教育の質的な改善をめざして)
- 数学的なコミュニケーションを生かした空間観念の育成 : 小学校中学年の実践(1.知識・概念形成,論文発表の部)
- ジオボード(格子点)を使った数学的活動についての理論的・実践的研究(第2報)
- 具体的操作活動を生かした空間観念の育成 : 小学校低学年の実践(論文発表の部)
- 5B-2 ジオボードを使った数学的活動(2) : 「形づくり」(第1学年)
- ジオボードを使った数学的活動 : 「正方形くずし」(第6学年)
- ジオボード(格子点)を使った数学的活動についての理論的・実践的研究(第I報)
- van Hieleの思考水準による日米幾何教育達成度比較研究 : 日本側の結果を中心に
- J5 児童生徒の空間思考に関する調査研究 : 空間像とその操作の特性についての一考察(J 学習・認知・理解,論文発表+ポスター発表の部)
- 空間思考に関する調査研究(1) : 小・中・高校生を対象とした調査結果の概要と考察(10.認知と情意,口頭発表の部)
- ジオボードを使った数学的活動 : 円形ジオボードの活動分析による教材研究(論文発表の部)
- ジオボード(格子点)を使った数学的活動 : 分類・分析・一般化を喚起する教材の研究(9.図形教材・教具,論文発表の部)
- ジオボード(格子点)を使った数学的活動についての研究(9.図形教材・教具,論文発表の部)
- 21世紀を迎えて : これからの数学教育
- I4 論証導入期の指導について(3) : 生徒は「証明」をどのように受容したか(I 証明・論証,論文発表の部)
- 中学校図形における論証導入期の指導について(第3報-1)
- 中学校図形における論証導入期の指導について(第4報)
- 論証導入期の指導について(2)(6.説明と証明,論文発表の部)
- 中学校図形における論証導入期の指導について(第2報)
- 中学校図形における論証導入期の指導について
- D3 論証導入期の指導について(D.学習指導法分科会)
- 立体の2次元表示に関する調査研究
- C11 立体の二次元表示に関する調査研究(C 理解・認知分科会)
- 図形・幾何
- 「実際的数学教育」とジェンダーの問題 : オランダの算数・数学教育の動向(世界の算数・数学教育(II))
- 小学校教員養成課程における数学教材の研究 第1報
- 幾何教育の復権(第3報)
- 論証への移行期における諸問題(WG4【図形・幾何/測定】,今後の我が国の数学教育研究,「課題別分科会」発表集録)
- I2 論証導入期の作図指導の可能性(I 証明・論証,論文発表+ポスター発表の部)
- 平成9年度第30回数学教育論文発表会の報告
- 平成9年度第30回数学教育論文発表会の報告
- 図形教育のいくつかの問題点(I 報告,図形・論証(含コンピュータ)研究部会,「テーマ別研究部会」発表集録)
- 数学教育におけるインターネット活用の実践とその評価 第I報 : Webページ作成にもとづいて
- F5 Webページ作成を活用した数学の指導 : 多様な解法(別解)を題材にして (第33回数学教育論文発表会発表論文要約)
- 統計処理の概念の育成に関する実践的研究第II報 : 日常的課題を設定して
- 統計処理の概念の育成に関する実践的研究 第I報 : 日常的課題を設定して
- 6B-4 空間思考の育成に向けて : 第6学年「立体」の実践を通して(第6分科会 図形,I 幼稚園・小学校部会,日本数学教育学会第83回総会 全国算数・数学教育研究(埼玉)大会)
- 昨年度の成果と課題(WG4【図形・幾何/測定】,「課題別分科会」発表集録 今後の我が国の数学教育研究)
- 教員志望大学生の算数・数学に対するイメージからの問いかけ
- (6)空間と幾何(1.カリキュラム、目標、内容,最近10年間(1991-2000)の研究のまとめと課題,「課題別研究部会」発表集録)
- 図形・幾何
- 戦後50年の図形・幾何教育の内容はどう変わったか : 学習指導要領に基づく図形・幾何の内容の変遷
- 九九表にみる児童・生徒の思考に関する横断的研究(15数学的な見方・考え方,幼稚園・小学校,第91回全国算数・数学教育研究(京都)大会第56回近畿算数・数学教育研究(京都)大会日本数学教育学会第91回総会)
- 13B-5 数学科における習熟度別指導の羅針盤(13TTと少人数指導,中学校,日本数学教育学会第86回総会全国算数・数学教育研究(鹿児島)大会)
- 6A-5 素材の違いが授業実践に与える影響 : フィボナッチ数列の学習を通して(6問題解決と課題学習,中学校,日本数学教育学会第84回総会 全国算数・数学教育研究(兵庫)大会)
- 6B-3 立体構成によるイメージの育成(第6分科会 図形,I 幼稚園・小学校部会,日本数学教育学会第83回総会 全国算数・数学教育研究(埼玉)大会)
- A5 van Hieleの思考水準による日米幾何教育達成度比較研究 : 日本側の結果を中心に(A 理解・認知・思考分科会)
- ロシア・ソビエト連邦における数学教育の史的研究(II) : 20世紀初頭のロシアにおける幾何教育改革の動向
- ロシア・ソビエト連邦における数学教育の史的研究(I) : 20世紀初頭のロシアにおける数学教育改革への動向
- 立方体の切断の作図法についての一考察(II)(2.理解,口頭発表の部)
- 立方体の切断面の作図法についての一考察(II)にむけて(口頭発表の部)
- ロシア・ソビエト連邦における数学教育の史的研究(III) : ソビエト学校創設期の数学プログラムと教授法的理念
- 新学習指導要領のポイントと理論及び実践における課題
- ロシア・ソビエト連邦における数学教育の史的研究(V) : 1946-1958期における中等学校の幾何教育について
- 名誉会長 故 阿部浩一先生を偲んで
- 名誉会員 故岡部浩一先生を偲んで
- 図形の教授-学習の問題点について(第1報)
- B10 ヤキマンスカヤの「空間思考」について(B.理解・認知分科会)
- ロシア・ソビエト連邦における数学教育の史的研究(IV) : 社会主義建設期における数学教科の確立とその概要
- 生徒がもつ文字のイメージ(Ⅱ)─本備調査の結果より─
- 高等小学校と新制中学校の連続性について : 算数・数学の視点から