ケルダール法による米黒酢の全窒素分測定方法の最適化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本農林規格(JAS規格)の見直しに係る米黒酢の全窒素分の測定方法の検討を行った.従来のJAS規格では,試料5 mLに分解促進剤と硫酸を加えて,加熱分解後,パルナスワグナー型蒸留器で蒸留し,水酸化ナトリウム溶液で滴定を行うケルダール法が採用されている.この方法は,試料によっては,分解中に激しく発泡することがあり,分解の操作に熟練を要する場合がある.また,分解後,蒸留する際には定容する必要があり,操作が煩雑である.今回,これらを変更,改良し最適な方法を得るため,分解,蒸留方法等の検討を行い,次のような方法を設定した.試料5,10又は15 mLに分解促進剤10 g(K2SO4 9.0 g,CuSO4・5H2O 1.0 g),硫酸15 mL及び30% 過酸化水素水10 mLを加えて分解し,分解液が清澄になった後,電熱式分解台では120分間,ブロック分解装置では90分間加熱した.その後,40% 水酸化ナトリウム溶液70 mLを加えて,塩入・奥田式蒸留器又は自動蒸留装置で水蒸気蒸留を行い,ブロモクレゾールグリーン−メチルレッド混合指示薬を用いて0.05 mol/L硫酸で滴定した.この測定方法で,難分解性アミノ酸であるリシンの回収率を確認した結果,電熱式分解台及びブロック分解装置のいずれの場合でも,回収率が97% 以上となり,良好な回収率が得られた.窒素分の異なる3種類の米黒酢を用いた測定では,激しく発泡することなく分解することが可能となり,相対標準偏差については,いずれの試料でも1.0% 以下となり,精度よく測定できることが認められた.また,この検討により,ブロック分解装置及び自動蒸留装置の導入が可能となり,多検体の迅速な測定が可能となった.
- 2009-05-05
著者
-
鈴木 忠直
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所
-
安井 明美
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所
-
橋本 佳子
独立行政法人農林水産消費安全技術センター
-
忠田 吉弘
独立行政法人農林水産消費安全技術センター
-
鈴木 忠直
独立行政法人農林水産消費安全技術センター
-
忠田 吉弘
独立行政法人農林水産消費技術センター
-
忠田 吉弘
独立行政法人 食品総合研究所
-
安井 明美
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所
関連論文
- 無機元素組成によるカボチャの原産地判定技術
- ケルダール法による米黒酢の全窒素分測定方法の最適化
- 市販の国産野菜に含まれている硝酸濃度の実態調査
- オウトウのDNA品種識別技術の妥当性確認
- 無機元素組成による黒大豆「丹波黒」の産地判別
- JAS規格見直しと食品成分表改訂で進む新規分析法と考え方の導入 (特集 変わる食品成分規格と分析法)
- 米の胚乳部におけるアミノ酸分布〔英文〕
- 短期冷蔵におけるバレイショ成分の変化およびそれが高温加熱後のアクリルアミド生成量に及ぼす影響
- 無機元素組成によるカボチャの原産地判定技術
- 第1-4回食品成分分析技能試験結果
- ケルダール法による米黒酢の全窒素分測定方法の最適化
- 電位差滴定に基づく醸造酢の酸度測定法の室間共同試験による妥当性確認(分析の信頼性とバリデーション)
- 梅肉エキス中のムメフラール定量法
- 日本で市販されている加工食品中のアクリルアミドの分析
- 梅肉エキスに秘められた血流改善効果
- 精米粉末中カドミウム及び主要無機質の技能試験(分析の信頼性とバリデーション)
- 改良デュマ法によるしょうゆの全窒素定量
- 産地判別法
- 農産物・加工食品原料の産地判別技術の現状と展望
- 食品の分析データの信頼性確保システムの確立
- ケルダール法における魚粉中の全窒素測定条件の検討及び燃焼法との比較
- コーンドミートの粗タンパク質測定のための燃焼法の室間共同試験による妥当性確認
- にんじん成分調査のためのサンプリング法の検討
- 玄米の無機元素含有量の品種間変異と産地の違いによる変動
- 穂上位置による玄米1粒中の無機元素含有量の差異 : 日本晴,コシヒカリおよびスノーパール(品質・加工)
- 玄米1粒中無機元素濃度の変動
- 収穫年が異なる玄米の無機元素含有量
- 山形みどりな, タカナ (山形青菜) およびハクサイの部位別ビタミン含有量
- マカロニ製品の灰分測定法に関する室間共同試験による妥当性確認(分析の信頼性とバリデーション)
- 食品分析における一般成分測定法の標準化と食品成分表改訂の最新動向 (特集 タンパク・水分・脂質の分析技術)
- 食品分析の国際標準化と食品分析・標準化センターの活動 (特集 食品検査の信頼性確保)
- 食品分析に求められていること
- 山形みどりな(タカナとハクサイの細胞融合雑種)の成分特性
- 寒ざらし処理によるソバの成分変化
- 玄米1粒中無機元素含有量の穂上位置による差異
- コメ(oryza sativa japonica, 日本晴)1粒中の無機元素含有量の穂上位置による差異
- 食品
- ネギの産地判別のための無機元素測定法の確立と予備的検討
- 五訂増補日本食品標準成分表と脂肪酸成分表
- 五訂日本食品標準成分表の公表
- 食品の産地判別技術の展望
- 統計的手法を用いたDNAマーカーによるタマネギの品種識別
- タマネギの品種識別用DNAマーカーの開発
- 無機元素組成による黒大豆「丹波黒」の一粒産地判別
- Kjeldahl法によるしょうゆの全窒素定量における分解条件の最適化
- 無機元素組成を利用した黒大豆「丹波黒」の産地判別技術
- 日本産と中国産の黒大豆「丹波黒」における無機元素組成の差異(品質・加工)
- 無機元素分析による黒大豆の産地判別(日本作物学会第216回講演会要旨・資料集)
- ヘテロ乳酸菌 Lactobacillus fructivorans に起因する加工味噌の膨れ
- 食品研究にすぐに役立つ統計処理法-4-パタ-ン類似率とその応用--食品研究におけるパタ-ン解析
- 成分パタ-ンによる原材料配合率の推定--理論的考察
- アミノ酸組成による原料蛋白質の配合率の推定
- アルミニウムはく容器を用いる乾式灰化法
- 穀類,果樹葉および海藻類中の金属元素の原子吸光法による定量への塩酸抽出法の適用
- ホテイアオイの部位別の無機成分含量
- 穀類・果樹葉および海藻類中の金属元素の原子吸光法による定量への塩酸抽出法の適用
- 食用油脂類の金属元素含量--油脂精製工程における含量の消長
- 食品中の塩素の電位差滴定法による定量
- 食品の水分定量法--高力価試薬を用いる高水分食品へのカ-ルフィッシャ-法の適用
- ホテイアオイ(Eichhornia crassipes Solms)根部による溶液中の鉛,銅およびカドミウムの吸着(ホテイアオイの根部を用いる溶液中の金属の除去および回収-1-)
- 納豆菌,Basillus subtilis (natto) KFP419によるストラバイトの生成
- マイクロ波加熱を用いたケルダ-ル法による食品中の窒素の定量
- 食品試料中の無機元素定量のための密閉系マイクロ波システムによる迅速湿式分解
- 糸引納豆の劣化に関する研究 : ストラバイトの生成について : 食品
- 食品中の総アミノ酸測定のための加水分解法の改良--加水分解時間,分解温度および抗酸化剤の検討
- 食品中の無機元素定量のための誘導結合プラズマ発光分析法における多量元素の影響
- ケルダール法における魚粉中の全窒素測定条件の検討及び燃焼法との比較
- 標準物質
- 食品における微量分析とその信頼性確保
- 技能試験
- 食品における微量分析とその信頼性確保(ヘッドライン:微量分析と有効数字)
- コーンドミートの粗タンパク質測定のための燃焼法の室間共同試験による妥当性確認
- 蛍光X線分析を用いたカボチャ種子の微量分析および産地判別への応用