トマト果実の鮮度保持とその生理学的研究 (第9報) : トマトの追熟中のNADPレベルおよびATP, ADPの変化とポリエチレン包装の影響
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概要
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1. NADPレベルとトマトの追熟との関係を検討した結果, 正常な追熟が行なわれるトマトでは, NADPレベルは追熟に伴つて上昇した. ripeness score 3前後で最大となり, その後は減少して, 呼吸の climacteric rise と同様な傾向を示した.2. いつぽう, ポリエチレン包装して呼吸を抑制し, 追熟をおさえると, NADPレベルの上昇は抑制され, 果実全体でみると, ほとんど一定値ないしは漸減の傾向を示した.3. 部位別に測定した結果では, ゲル状部で高く, 果肉で低い値を示したことから, NADPないしはNADPHの関与する代謝は, 果肉部よりデル状部で活発に行なわれており, トマト果実の追熟には, ゲル状部の代謝活性が大きく影響しているものと推測された.4. 追熟に伴う総高エネルギーリン酸量の変化は, 一時上昇し, 後に低下してピークを形成したが, そのピークは呼吸の climacteric maximum よりややおそく表われた. ADP量は収穫後, ほとんど追熟の進行に伴つて上昇した. リン酸受容体量の大小から, 呼吸の climacteric rise を説明する説があるが, 著者の結果はそれを支持するものといえよう.5. いつぽう, ポリエチレン包装した場合には, 総高エネルギーリン酸はもちろん, ADP量もかなり低くおさえられた. 2-14C-MVA の取り込み実験と phytoene の量から, ポリエチレン包装による着色進行の阻害の一因として, MVAのリン酸化に続く縮合反応が阻害されることを推定したが, ポリエチレン包装時のトマト果実のATP. ADP量の変化もこの推論を裏付けるような結果を示した.
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