夏期市場入荷野菜の品温, 及び収穫後予冷開始までの高温が数種野菜の品質に及ぼす影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
夏期に, 各地から京浜市場へ入荷した野菜の競売直前の品温の調査及び千葉県君津地域から東京神田市場へ常温出荷されたインゲンの収穫直後から競売直前までの品温の追跡調査を行うとともに, 3種類の野菜について,収穫後予冷開始までの高温がその後の品質に及ぼす影響について検討し, 以下のような結果を得た.1. 夏期に常温出荷される多くの野菜の競売直前の品温は, いずれも測定時の外気温に比べてかなり高く, 品目によっては40°Cを越える例もあり, 流通中の高品温が常温出荷での品質劣化に大きく影響していることが推察された.2. 予冷出荷野菜も, 現状では市場で低温保管されず, 常温下に積まれろことがほとんどであるが, このような場合でもし競売直前の品温は. 大部分10〜15°C程度であり. この後短時間のうちに小売店の低温ショーケースなどに入れられて販売されるなら, 予冷の効果はかなり期待できると推察された. さらに, 市場での低温保管が実施できれば, 予冷の効果は一層顕著なものとなることが予測された.3. インゲンの常温出荷での品温追跡の結果, 流通の各段階を通して, かなりの品温上昇が認められた. 容器(段ボーノレ箱) の通気孔の有無, 市場での荷の積み方の違いによっても品温の上昇程度に差がみられたが, 最も品温が低く推移した区の最終調査時の品温が36.8°C (ほとんどの期間30°C以上) と高く, たとえ荷の積み方などを工夫したとしても常温出荷での鮮度保持には限界があり, 予冷出荷の必要性が推察された.4. ホウレンソウ, スィートコーン, シュンギクについて, 収穫後予冷開始までの比較的短時間の高温がその後の品質 (内容成分, 外観鮮度) に及ぼす影響について第7-2図 処理区別のシュンギク葉中の還元型ビタミンC含量の変化検討した結果, ホウレンソウ, スィートコーンの外観の劣化とクロロフィル含量の減少速度, 及びスィートコーンの全糖含量, シュンギクの還元型ビタミンC含量の減少速度は高温下ではかなり速いが, 収穫後短時間のうちに予冷を開始することによって, この速度が大幅に抑制されることが認められ, 収穫後早期に予冷することの重要性が示唆された.
著者
関連論文
- 24 土壌細菌を指標にしたサツマイモ連・輪作圃場の耕地環境の評価手法
- 醗酵工業原料としての摺込貯蔵甘藷について
- 甘藷澱粉価の簡易定量法(続) : 数値の訂正
- 甘藷澱粉価の簡易測定法 : 水分を測定して澱粉価を推定する方法の検討
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第9報) : トマトの成熟過程におけるクロロフィラーゼおよびペクチンエステラーゼ 活性の変化とポリエチレン包装の影響
- 夏期市場入荷野菜の品温, 及び収穫後予冷開始までの高温が数種野菜の品質に及ぼす影響
- 外葉除去, 予冷法及び予冷開始の遅れがコカブの品質変化に及ぼす影響
- 低温とポリエチレン袋密封包装によるニラの鮮度保持
- トマト果実の鮮度保持とその生理学的研究 (第9報) : トマトの追熟中のNADPレベルおよびATP, ADPの変化とポリエチレン包装の影響
- メロンの熟度と収穫後の品質保持
- トマト果実の鮮度保持とその生理学的研究(第10報) : トマト果実の追熟中における2, 3の酵素活性の変化と それに対するポリエチレン包装の影響
- トマトの包装改善と輸送試験
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第4報) : 生食用トマトの貯蔵中における品質変化とその測定法
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第1報) : キュウリの冷温貯蔵における品質変化について
- 酵素糖化ブドウ糖原料としての澱粉の液化性に関する研究(第8報) : 油脂と澱粉の液化性
- 酵素糖化ブドウ糖原料としての澱粉の液化性に関する研究(第5報) : 液化酵素に対する澱粉製造不純物の影響
- 酵素糖化ブドウ糖原料としての澱粉の液化性に関する研究(第6報) : 発酵および酸処理の影響
- 酵素糖化ブドウ糖原料としての澱粉の液化性に関する研究(第7報) : 塩素剤処理の影響ならびに粒型大小による差異
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第8報) : トマトのカロチノイド生合成系への2-14C-MVAと2-14C-acetate の取り込みとポリエチレン包装の影響
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第7報) : トマトの色素含量におよぼすポリエチレン包装の影響
- コカブの呼吸量及び数種内容成分の変化と外観品質との関係
- 青果物の鮮度保持に関する研究 (第5報) : トマト果実の呼吸に及ぼす環境条件とくにガス組成の影響