青果物の鮮度保持に関する研究 (第5報) : トマト果実の呼吸に及ぼす環境条件とくにガス組成の影響
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概要
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1. turning stage で採取後24〜26°Cに貯蔵したトマトは, ripeness score の増加に伴ない呼吸 (発生炭酸ガス) は上昇し, score 5付近で climacteric maximum に達し, 今回用いた福寿2号では約40mg/kg/hrとなつた。一方同じ熟度のトマトを0.03mm厚さのポリエチレン袋に入れた場合には, ripeness score の上昇がおそく, climacteric maximum は16mg/kg/hrで無包装の約40%に減少した。2. 10〜11°Cに貯蔵した場合には, はつきりとしたclimacteric maximum が認めがたく, 24〜26°Cのポリ袋包装果に比べて, 全体的に呼吸量がいくぶん低かつた。しかし ripeness score は10〜11°C貯蔵果のほうが早く増大する傾向を示した。3. ポリ包装果と無包装果の成分比較では, ゲル状種子部酸含量の滅少が包装果のほうが小さかつた。デンプンはゲル状種子部に多く, 貯蔵とともに減少したが, 包装, 無包装の差は認めがたかつた。4. 環境ガス組成とトマトの呼吸変化を検討した結果, トマトの呼吸を発生炭酸ガスでみた場合には, 環境ガス組成の炭酸ガス濃度の影響のほうが強く, 吸収酸素量でみた場合には酸素濃度の影響のほうが強いようで, トマトはいずれのガスにも呼吸が影響をうけるものと思われた。とくに, 酸素濃度が1%程度まで下がると, トマトの酸素吸収能が低下してRQが極端に上昇するところから, 酸素濃度の影響が大きいように見うけられた。
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