トマトの包装改善と輸送試験
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概要
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トマトの流通過程における鮮度保持を目的とした包装改善を行なうため, 現在行なわれている生産農家の出荷形式に適合するよう, 簡易なトマトのポリエチレン折込包装方法 (以下ポリ風呂敷法とよぶ) を取りあげた。この方法の鮮度保持効果, ならびに予冷の効果について試験し, さらに実際に貨車輸送試験を行なつて次のような結果を得た。1. ポリ風呂敷法では完全な密封状態は得られないけれども, この程度で包装内ガス組成は変化し, 密封とほぼ同様の着色抑制, 鮮度保持効果のあることを認めた。2. この際, 包装内の炭酸ガス濃度は第3報(炭酸ガス3〜4%, 酸素6〜9%) の場合に比べて高くなつた。一方酸素濃度の低下の割合は比較的少なかつた。3. 通風貨車で輸送する場合を想定して送風試験を行なつた結果, ポリ風呂敷法では, 風速が大であると (2〜2.5m/s), 包装内外の通気量が増し, CA効果が減少した。4. 予冷の効果は, 断熱ボックスに入れた場合にとくに強く認められたが, 送風するとトマトの品温が上昇して効果が減少した。5. 貨車輸送試験の場合にも, ポリ風呂敷法は, 炭酸ガス6〜7%, 酸素13〜14%となつてCA効果が認められた。6. 荷物が貨車内に相当量積まれた場合は, 通風車でさえ, 箱の中のトマトは外気温の影響を受けにくく, とくにポリ包装して貨車の中央部に積まれたものは, 積み込んだ際の温度が長く保持され, 容易に低下しなかつた。
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