ブドウの早期落葉に及ぼす低照度の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
我が国のブドウ園では, 梅雨期ごろから着果枝基部葉の黄変落葉が多く認められる。これは基部葉の受光率の低下することが一因であると思われた。1. 棚仕立デラウェア園における調査では, 新梢基部よりも先端部の照度が高く, 基部葉の受光率は6月中旬から8月下旬の間, 晴天日の戸外光度の10%以下であつた。このような影響のために早期落葉は基部ほど多かつた。2. 鉢植デラウェア幼樹による人為的しゃ光処理において, 樹体全体を暗黒状態, あるいはしゃ光条件下に置いた場合には基部の落葉は抑制され, 逆に先端部のかっ変落葉が生じた。一方, 樹体の基部のみにしゃ光を行うと, 実際栽培園で認められるような基部の黄変落葉が生じた。また, 基部および先端部の落葉は着果樹, 無着果樹ともほぼ同様であった。3. 鉢植デラウェア幼樹の基部しゃ光処理において,しゃ光された基部葉にGA3 50ppm, およびNAA 100ppm を処理すると落葉が促進され, BA50ppmを処理すると落葉は抑制された。更に, キャンベル•アーリー成木においては摘心や副梢切除によつて基部の落葉が抑制された。4. 鉢植デラウェア幼樹の基部しゃ光処理において,基部葉の光合成速度が著しく低下し, 逆に先端葉の呼吸速度が増加した。葉内炭水化物含量はしゃ光部位で減少した。更に, 基部葉に取り込ませた14Cの転流はしゃ光された樹体基部よりも受光率の高い先端部の方が多かった。このような結果から, 低照度によるブドウの早期落葉は新梢基部と先端部との炭水化物競合によって生じるように思われた。
- 園芸学会の論文
著者
関連論文
- 37.重力刺激によって変動するサクラジマダイコン黄化芽生えに含まれる生理活性物質(口頭発表)
- 31 植物の光屈性分子の化学及び生物学(口頭発表の部)
- 花芽誘導物質の探索
- 4. 高等植物の形態形成におけるオーキシン極性移動の重要性
- 5. シロイヌナズナ芽生えにおける光誘導性成長抑制物質
- 高等植物の形態形成とオーキシン極性移動に対する疑似微小重力の影響
- 高等植物の葉の老化に対する重力の影響
- 20 オーキシン極性移動阻害剤による黄化エンドウ上胚軸の自発的形態形成の誘導
- 58.ムスカリ(Muscari armeniacum)におけるガム物質の形成制御およびその化学組成(口頭発表)
- 3.正常な黄化エンドウ芽生えの形態形成は正常なオーキシン極性移動を必要とする(口頭発表)
- 31.ジャスモン酸類によるトウモロコシ幼葉鞘裂開誘導機構(口頭発表,植物化学調節学会第41回大会)
- 5.エンドウ突然変異体"ageotropum"の形態形成と上胚軸のオーキシン極性移動に対する重力刺激の影響(口頭発表,植物化学調節学会第41回大会)
- 8. オーキシンによるチューリップ花茎の伸長促進 : 花茎節間における物質分配に対するオーキシンの影響
- 41. スモモ果実におけるジャスモン酸類によるガム物質形成
- 2. 黄化エンドウ芽生えの形態形成とオーキシン : オーキシン極性移動関連遺伝子を中心として
- 1. 微小重力環境による黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成の誘導 : 特にオーキシン極性移動関連遺伝子について
- 高等植物の重力応答反応とその分子的基礎:特に黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成とオーキシン極性移動について
- オーキシン極性移動阻害剤による黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成の誘導 : 特にオーキシン極性移動関連遺伝子発現との関係(第37回大会研究発表抄録)
- 高等植物のオーキシン極性移動関連遺伝子の発現に対する擬似微小重力の影響
- 28 オーキシン極性移動阻害剤による黄化エンドウ芽生えの自発的形態形成の誘導 : 特にオーキシン極性移動関連遺伝子発現との関係
- 20.オーキシン極性移動阻害剤による黄化エンドウ上胚軸の自発的形態形成の誘導(第36回大会研究発表抄録)
- 7. Bryophyllum calycinumにおけるジャスモン酸メチルエステルの二次離層形成効果(第35回大会研究発表抄録)
- 7 Bryophyllum calycinumにおけるジャスモン酸メチルエステルの二次離層形成効果
- 「植物ホルモンの分子細胞生物学」, 小柴共一/神谷勇治/勝見允行・編
- 加藤次郎先生の逝去を悼む(談話室)
- スペースシャトルを用いた植物宇宙実験 : 特にオーキシン極性移動について
- 宇宙環境における植物の成長と発達 : 向井千秋宇宙飛行士による宇宙実験(STS-95)を中心として
- 植物の老化に関与する生理活性物質の生物有機化学的研究
- ジャスモン酸類 : 発見の歴史,化学,生理作用 (第26回大会研究発表抄録)
- 宇宙環境下における植物の形態形成とオーキシンの極性移動
- シロイヌナズナpin突然変異体とオーキシン
- 22. ジャスモン酸メチルエステルで誘導されるチューリップのガム物質の化学組成について
- 22 ジャスモン酸メチルエステルで誘導されるチューリップのガム物質の化学組成について
- 23. Crassula lycopodioides溢泌物の化学組成とジャスモン酸メチルエステルによる制御
- 23 Crassula lycopodioides溢泌物の化学組成とジャスモン酸メチルエステルによる制御
- 25 チューリップにおけるジャスモン酸メチルエステルのガム物質生成促進効果 : 組織学的観察
- 24 モモ枝梢おけるジャスモン酸メチルエステルのガム物質誘導とアントシアニンの蓄積促進
- オーキシン極性移動に関する宇宙実験のための実験系の検討(II)
- 第15回国債植物科学会議参加報告(生理学関係)
- 1Dp05 エンドウ上胚軸の生長とインベルターゼ活性に対するジベレリンの影響
- ニホングリきゅう果の生長に及ぼす刺毛刈取りの影響
- リンゴ3倍性品種‘陸奥’の胚のうの発達とその異常に関する研究
- ブドウ‘デラウェア’の休眠枝ざしの発根に関する研究 (第2報) : さし穂内の植物ホルモンの動向について
- ブドウの早期落葉に及ぼす低照度の影響
- ブドウ′デラウェア′における光合成産物の転流形態
- ブドウ‘デラウェア’における光合成産物の転流と分配
- ブドウ‘デラウェア’果実の成熟生理に関する研究 (第2報) : 果実に対する光度が糖•有機酸含量に及ぼす影響並びに果実での炭酸ガス固定
- ネコブセンチェウによるゴール形成に関する研究 (第2報) : ホウセンカの茎に形成されたゴールの呼吸量, 炭水化物含量および同化物質の取り込み量の変化
- ネコブセンチュウによるゴール形成機構に関する研究 (第1報) : サツマイモネコブセンチュウの接種によりホーセンカの 茎に形成されたゴールの形態学的研究
- 温州ミカンの雄性不稔に関する研究 : 花粉稔性の回復に関係する葯内の炭水化物の代謝および酵素活性に及ぼす温度の影響
- ジベレリンによるリンゴおよび日本ナシの単為結実果ならびに変形果の形態学的研究
- ブドウ3品種間における果粒の形態学的比較
- ブドウ•デラウェアの果粒の形態学的研究
- ブドウ果実の日射病(生理的障害)に関する研究
- ブドウ果粒の発育に伴う表面微細構造 : 特に気孔の構造の変化
- カンキツ類の胚培養に関する研究 (第1報)
- 15βOH ジベレリンがナシ属3種の着果及び果実の発育に及ぼす影響
- ブドウ‘デラウェア’果実の成熟生理に関する研究 : (第1報)果粒中の糖蓄積に及ぼす新梢上の葉数及び果粒中の多糖類, 有機酸の変化
- ネコブセンチュウによるゴール形成に関する研究 (第3報) : ゴール肥大に伴う内生植物ホルモンの活性変化と生長調節物質によるホウセンカ茎のゴール肥大について
- 日本原産野生ブドウの分布ならびに葉の形態学的特性
- ブドウの芽の休眠の一般的特徴
- 1. α-メチレン-γ-ラクトン構造を有する新規オーキシン極性移動阻害物質(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- 23. エンドウの頂芽優勢に関わる生理活性物質の構造および機構(口頭発表,植物化学調節学会第47回大会)
- "川野なつだいだい"の花芽分化と葉及び樹皮中のタンパク質,アミノ酸含量との関連
- モモの単為結果および果実の肥大におよぼすジベレリンの影響〔英文〕
- 植物成長調節物質によるシロイヌナズナ花芽形成機構の解析 (生理活性物質と植物生体機構の解析)
- 温州ミカンの雄性不稔に関する細胞組織学的研究〔英文〕
- 温州ミカンの花粉退化および葯のタペート細胞崩壊の時期について〔英文〕
- 多胚性カンキツ類における発芽可能な交雑胚を含む種子の形状
- モモおよび日本ナシの果実発育におよぼす胚の破壊とジベレリン処理の影響〔英文〕
- CO2施用がブドウ"巨峰"の生育と果実品質に及ぼす影響
- イチジク樹の肥料要素吸収量に関する研究
- イチジク樹の栄養に関する研究-1-
- 37. 球根植物におけるガム物質の形成制御およびその化学組成 : ヒアシンス(Hyacinthus orientalis L.)を中心として(口頭発表,植物化学調節学会第48回大会)