ブドウ3品種間における果粒の形態学的比較
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概要
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1. ブドウ早生種のキャンベル•アーリー, 中生種のマスカット•ベーリーAおよび晩生種の甲州の3品種の果粒について, 開花前から成熟期までその形態学的な比較を行なつた。2. 果粒が急速に発育する第I期の生長期間は, 3品種ともほぼ同一であつたが, 生長が劣る第II期は, キャンベル•アーリーがマスカット•ベーリーAや甲州よりも短かかつた。また再び発育が盛んになる第III期の生長期間は, 甲州がキャンベル•アーリーやマスカット•ベーリーAよりも長かつた。3. 3品種とも, 果皮の内壁組織の増加は, 他の組織の増加よりも急速で, 特に第I期の後半に顕著であり, 成熟期における内壁組織は全横断面積の約50パーセントを占めていた。甲州では, 第III期における外壁組織の厚さの増加がいちじるしく, その時期の果粒の増大と深い関連がみられた。4. 内壁組織は, ほぼ均一な大ぎさおよび形の細胞からなり, 細胞は果粒の生長とともに相似的に増大した。満開期から成熟期までの細胞容積の増加率は, 甲州において最大で, 次いでマスカット•ベーリーA, キャンベルアーリーの順に少なかつた。しかし, 成熟期の内壁組織における細胞の大きさは, マスカット•ベーリーAが最も大きく, 甲州およびキャンベル•アーリーではそれよりも小さかつた。外壁組織の内部の柔細胞は, 生長の後半である第IIおよび第III期には, 放射方向のみに伸長し, 成熟期の外壁組織の中央部の細胞の大きさは, 特に放射方向の細胞径で, 甲州が他の2品種よりも大きかつた。5. 胎座および内壁組織における細胞分裂の停止期はキャンベル•アーリーでは開花後11日, マスカット•ベーリーAおよび甲州では共に開花後7日であつた。内壁組織の細胞分裂の停止期における細胞数は, キャンベル•アーリーではマスカット•ベーリーAおよび甲州の約2倍であつた。外壁組織における細胞分裂は, 最初放射方向にのみ停止し, その時期はキャンベル•アーリーでは開花後12日, マスカット•ベーリーAおよび甲州では開花後8日であつた。その後, 分裂の後半期には, 細胞分裂は接線方向にのみ行なわれた。外壁組織の中央円周上における細胞分裂は, 3品種において, それぞれ開花後19日から22日まで続けられた。そして, 外壁組織の細胞分裂は, 内部の層ほど早く停止し, 順次外部の層に及んで停止した。なお, 果粒の最外層である下皮および表皮組織における細胞分裂の停止期は, キャンベル•アーリーでは開花後32日, マスカット•ベーリーAでは35日, 甲州では38日であつた。しかし, これらの組織における細胞数は3品種の問にいちじるしい差異はなかつた。
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