ブドウの芽の休眠の一般的特徴
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概要
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1. 秋から冬にかけて, 露地および鉢植えのブドウ樹から切り枝を採取し, さし木することによって芽の休眠の深さの季節変化を調査した. 芽の休眠の程度は初秋に最も深く, 晩秋から初冬にかけて, その深さは徐々に浅くなった.2. このような休眠の状態を Kondo の方法に準じて, 条件的休眠, 自発的休眠, 強制的休眠の三つに区分した. 自発的休眠は好適条件下でさし木後20日以内に萌芽しない場合とし, 休眠の最も深い時期ではさし木後約70日でも萌芽しなかった. また, 強制的休眠は自発的休眠完了後の時期であり, 野外では気温が低いため萌芽しないが, もし, 温度が十分であれば20日以内に萌芽する.3. 自発的休眠の開始の過程は新梢上の芽の位置 (節位) によって異なっており, 休眠は新梢の基部付近の芽に比較して上部節位の芽ほど浅かった. また, 休眠覚醒期の開始は落葉開始期とほぼ一致していた.4. 枝梢における新鮮重当たりのでんぷん含量は休眠が深まるにつれて60から150mgに, 芽内では80から100mgに増加し, 覚醒期に入ると前者で90mg, 後者で60mgに減少した. これに対して, 糖含量は休眠の深い時期では新鮮重当たり20mgとほぼ一定の値を保ち, 覚醒期に入って40mgに増加した.5. 枝梢内 (芽を含む) の生長抑制物質を1年間の生長周期を通して調査した. 枝梢の酸性酢酸エチル抽出物はペーパークロマトグラフィーの後, 数種類の生物検定にかけた. 抽出物中に存在している主な酸性生長抑制物質はイソプロパノール:アンモニヤ:水=10:1:1(v/v)の展開溶媒系でペーパークロマトグラフィーにかけたとき, おおよそRf 0.6〜0.9 (β-inhibiter zone) に展開した. この生長抑制物質はアベナ子葉鞘の伸長, ハツカダイコン種子の発芽, イネ幼苗の伸長, アベナの胚乳におけるでんぷんの糖化ならびにブドウの芽の萌芽に対して抑制活性を示した.6. この抑制物質の活性は休眠の開始や覚醒に関連して変化した. 4種類の展開溶媒系を用いた薄層クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーによって, この抑制物質中にはABAが存在していることが明らかとなった.7. ブドウの芽の酸素吸収量および炭酸ガス排出量は両者とも, 自発的休眠期間中, 新鮮重当たり, 1時間に300μlから200μlに減少した. その後, 強制休眠期間中はほぼ一定の値を示した.
- 園芸学会の論文
著者
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加藤 彰宏
大阪府立農林技術センター
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加藤 彰宏
大阪府農林技術センター
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中川 昌一
大阪府大 農
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堀内 昭作
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科
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中川 昌一
大阪府立大学農学部
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堀内 昭作
大阪府立大学
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