ブドウ‘デラウェア’の休眠枝ざしの発根に関する研究 (第2報) : さし穂内の植物ホルモンの動向について
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概要
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デラウェア•ブドウの休眠枝を用いて茎内及びさし木中のさし穂内のホルモン活性の変化を調査した.まず, 不定根の分化時期を知る目的でさし穂における酸素の吸収量を測定したが, 吸収量の増加は発根後にみられ, 分化時期の決定には応用できなかった.さし穂からのエチレンの発生の増加時期は発根に先がけていた. しかし, 発根を促すIAAの処理により発生が抑えられたことから, エチレンが発根要因であるとは考えにくい.GA3様物質の活性は圃場に育っているブドウの伸長初期の芽では検出されたが, 繁殖中のさし穂の芽や基部ではほとんど検出されなかった. したがって, 発根との関係は明らかではないが, 低活性であること, さらには外生処理により発根は促されないことから, 発根促進には関与していないと思われる.カルス培養による生物検定で, さし穂や圃場に育っているブドウのほう芽中の芽に高いサイトカイニン活性が検出された. ブドウの芽の中には3種類以上のサイトカイニンが含まれており, ほう芽期において総活性はピークを示したが, 圃場のブドウの芽とさし穂の芽では, 活性物質のクロマトグラム上のパターンが異なっていた. 外生処理の結果からサイトカイニンはさし木の発根を直接促すとは思われなかったが, ほう芽を促すことにより間接的に発根に関与しているものと思われる.さし穂の基部におけるオーキシン活性は繁殖中に低下し, 未発根のさし穂より発根良好なさし穂でより低かったことから, 発根の際消費されるものと思われた. ブドウの茎内のオーキシン活性は秋から冬にかけてしだいに低下し, 翌春再び増加した.ブドウの茎内におけるABA活性はオーキシンとは逆に, 秋に高く, 落葉後急速に低下した. 休眠期から早春にかけてのオーキシンとABAのこのような消長には, さし穂の発根しやすさの動きとよく一致しているように思われる. ただし, ABAは外生処理によりさし穂の発根を促す物質として知られているので, 発根時におけるそのレベルや働き, 及びオーキシンとのバランスに興味がもたれた.
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