リンゴ3倍性品種‘陸奥’の胚のうの発達とその異常に関する研究

概要

論文の詳細を見る
リンゴ3倍性品種の胚のうの発達とその異常を明らかにするため, 3倍性品種‘陸奥’と2倍性品種‘ゴールデン•デリシャス’を用い, 開花前1〜2日から開花(受粉) 後20日までの胚珠の発育を組織学的に比較検討した.1. 胚のうの発育状態は, 開花当日に‘ゴールデン•デリシャス’の場合卵装置が完成していたが, ‘陸奥’は未完成で胚のうの発育が遅れていた. 開花後3日に胚のうの完全度を判定すると, 正常な胚のうの割合は‘ゴールデン•デリシャス’98.0%に対し, ‘陸奥’は85.4%と約13%低かった.2. 重複受精率は‘ゴールデン•デリシャス’約97〜99%に対し, ‘陸奥’は約85〜86%と‘陸奥’でその値が低かった.3. 受精卵や胚乳原核の分裂しない胚珠の割合は‘ゴールデン•デリシャス’が1.9〜6.2%に対し, ‘陸奥’は19.4〜26.9%と著しく高かった. ‘陸奥’ではその中で受精卵と胚乳原核の両者の分裂しない胚珠が11.9〜14.2%と最も多く認められた.4. 胚や胚乳の初期発育に異常をきたす胚珠の割合は, ‘ゴールデン•デリシャス’2.5%に対し,‘陸奥’が8.9%であった.5. 以上の結果から, 3倍性品種‘陸奥’では胚のうの不完全により不受精になる胚珠が13%前後であり, 受精後の接合了や胚乳原核の発育に異常の認められる胚珠が約28〜36%で, これらのうち, 両者の最初の分裂能力に異常をきたす胚珠が多いことが明らかとなった.
園芸学会の論文

リンゴ3倍性品種‘陸奥’の胚のうの発達とその異常に関する研究

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク