ブドウ•デラウェアの果粒の形態学的研究
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概要
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1. ブドウ•デラウェアの果粒の発育が, 開花前より成熟期に至るまで形態学的に研究された。2. 落花後, 3つの生長周期が認められた。すなわち, 第I期は果粒が急速に発育し, その期間は33日であつた。第II期は果粒の発育が急激に衰え, その期間もきわめて短かくわずかに約3日間にすぎなかつた。また第III期は果粒がふたたび生長をはやめ, とくに果粒重量の急速な増加が認められ, その期間は40日であつた。3. 果皮の内壁組織の増加は他の組織の増加よりも急速で, また最も大きく, 果粒の発育と密接な関連が認められた。4. 内壁組織は, ほぼ均一な大きさおよび形の細胞からなり, 果粒の発育に伴ない, ほぼ相似的に肥大した。外壁組織は種々の大きさと形の細胞からなり, 外部の約7ないし8層は厚膜細胞になつた。また胎座組織も不規則な大きさおよび形の細胞からなり, その発達は果粒に含まれる種子の数に左右された。5. 胎座組織, および内壁組織における細胞分裂の停止期は, 満開期後10日目であつた。なおこの時期における果粒の平均横径は, 3.3mmであつた。外壁組織の放射方向における細胞分裂は, 内壁組織の細胞分裂停止期より2日おくれて停止した。しかし, 外壁組織の中央円周上における細胞数の増加, つまり接線方向における細胞分裂は満開期後19日まで続いた。同様に外壁組織の最外層である下皮層では細胞分裂は, 満開後33日まで続いた。このことは, 外壁組織における細胞分裂は, 分裂期間の後半は接線方向のみに分裂が行なわれ, しかも外部の層より内部の層ほど早く停止したことを意味するものである。表皮層における細胞分裂は満開期後33日の間続いた。これは下皮層におけると同様であつた。またこの時期における果粒の横径は12.2mmで, 果粒の生長曲線における第1期の最後の日に相当している。
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