いや地抵抗性台木としてのイチジク品種の選抜
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概要
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最近輸入され, 本邦での栽培経緯がほとんどなかった21種類のイチジク品種および在来品種'蓬莱柿'について, いや地に対する抵抗性を比較し, 主要品種'桝井ドーフィン'の台木としての有効性を検討した.各品種を台木とする'桝井ドーフィン'苗を, 清浄土とこれにいや地土を添加した用土の鉢で3年間育成した.その結果, いや地土を添加した場合いずれも生育が劣り, 根にはサツマイモネコブセンチュウの寄生による根こぶが生じた.しかし, 生育の抑制程度は台木によって異なり, 共台樹に比べて'King'台樹と'Conadrid'台樹で軽かった.また, 根こぶ指数(根こぶの発生程度を示す被害指数)も'King'台樹で最小だったが, 各種台木の根こぶ指数と樹の生育には相関がなく, 根こぶ指数はいや地の感受性の指標とならないと考えられた.いや地を発生させた試験圃場に各品種を植えて1年間育成し, 2年目に'桝井ドーフィン'を接いで合計3年間栽培した.その結果は鉢試験とは異なり, 特に'Zidi'台樹, 次いで'Biter Abiod'台樹の生育が共台樹より優れていた.'King'の生育もやや優れたが, 植え付け初年目の生育は優れず, 苗の生存率が劣っていた.'Conadrid'台樹の生育は優れなかった.鉢試験で生育の優れた'King'と圃場試験で生育の優れた'Zidi'および'Biter Abiod'に接いだ'桝井ドーフィン'苗を大阪府下6カ所の栽培圃場で3年間育成した.その結果, 何れも自根苗より生育が優れ, 特に, 'Zidi'台樹はいや地圃場でも樹勢の低下が少なかった.また, 3年生樹の比較において, 台木がBrixや果皮色などの果実品質に及ぼす影響は認められなかった.以上から, いや地での生育抑制を補償できる最も有望な台木として'Zidi'を選定した.
- 園芸学会の論文
- 2002-03-15
著者
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