カキ‘西村早生’の異常胚嚢発生に及ぼす夜間温度の影響

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‘西村早生’を供試し, 夜間気温と胚嚢の発育との関連を明らかにするため, 樹全体をビニルハウスで覆い, 1987年4月27日から5月15日までの午後6時から午前6時の夜間温度を20°Cとする夜間加温処理を行った. 子房及び胚嚢の発育は夜間加温処理によって促進され, 開花が10日早まったが, 発育曲線の型は対照区, 夜間加温処理区共に似ており, 夜間加温処理の影響による異常な発育促進効果は認められなかった. 胚嚢の発育を観察するなかで, 退化するものや1胚珠内に複数の胚嚢が形成されるもの, 9核以上の多核となるものなどの異常な胚嚢が観察された. それらを退化胚嚢とそれ以外の異常胚嚢に分類し, その発生に及ぼす夜間加温処理の影響を調査した. 対照区における退化胚嚢の発生は, 子房の大きさ6.5mmと9.0mmの2時期に観察され, 最終的に21%前後の退化胚嚢が認められた. これに対し夜間加温処理区では, 対照区でみられた子房径6.5mmでの退化胚嚢の発生がほとんどなく, 子房径9.0mm前後での発生のみで, 最終的には12%の低い発生率であった. 退化胚嚢以外の異常胚嚢の発生は, 対照区と夜間加温処理区との間に差がなく, 共に調査開始直後より徐々に増加し, 子房径8.0mm以上では10〜20%であった. 対照区における全異常胚嚢発生率は, 最高46%, 平均38%であり, 夜間加温処理区の全異常胚嚢発生率は, 最高26%, 平均24%であった.
園芸学会の論文

カキ‘西村早生’の異常胚嚢発生に及ぼす夜間温度の影響

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