継代培養中のカキのシュートの葉からの体細胞胚形成

概要

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窒素成分を1/2にしたMS培地(1/2NMS)にzeatin 10^<-5>Mを添加した培地で茎頂培養を行い,その後伸長したシュートを節毎に切取り,同じ組成の培地で継代培養して約1年間維持されている"富有"のシュートから採取した葉を供試材料とした.1/2NMS培地にBAP1-0×10^<-6>MとNAA 1.0×10^<-5>Mを組み合わせて添加した培地で高い体細胞胚形成率を示した.体細胞胚形成は,継代培養開始4週間後と5週間後の葉に限られ,体細胞胚形成能と葉齢との問には密接な関係があった.置床方法では,葉の表を培地面に接した場合66.7%の不定胚形成率を示し,裏を培地面に接した場合の1.5倍となった.embryogenicなカルスは薄い緑色または白色で,微細な粒状の突起を呈していた。不定胚は表皮系を持った胚軸部と子葉を持ち,カルスから容易に分離できることから,embryogenicなカルスと区別することができた。形成された不定胚はラッパ状の異常な子葉を持ち,中にはその子葉部が再びカルス化するものも観察された,これらの不定胚は植物体まで生育させることができなかった.
日本育種学会の論文
1988-12-01