ラン科植物Vabda及びその近縁属の花被内における花色素の分布
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概要
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Vanda及びその近縁9属(Sarcanthinae亜族)34種及びそれらの種間・属間交雑種60余種について分類や新品種育成の資料を得る目的でそれらの花色,花被内のカロチノイドとアントシアンの分布及び花被上面表皮細胞の形態と大きさについて調査した。1.カロチノイドとアントシアンの表皮細胞中での存否から11種の分布様式があった。表皮にカロチノイドを含む原種はAscocetrum,Phalaenopsis,Renanthera,Trichoglottis,Vandの5属,新属で3属あった。表皮にアントシアンを含む原種は比較的少く,Ascecentrum,Doritis,Renanthera,RhynchostylisとTrichoglottisの5属10種であった。Vandaの交雑種にこの分布様式のものがみられた。花色はカロチノイド単独で黄色,アントシアン単独で赤紫から紫青色,そして両者の共存で赤色を呈した。2.Hunter表色法による色度図上において,Asctm. miniatum,Ren. monachica,Trgl. fasciataとV. denisonianunは黄ないしオレンジのAsctm. curvifoliumとRenanthera 3種は赤色の,Aerides 2種,Asctm. ampullaceum. Dor. pulcherrimaは赤紫色の,V. coeruleaは紫青色の高い彩度を示した。Vanda属は赤色原種を持たないが,その交雑種に多くの赤色品種が生じ,色度図上にオレンジから紫色の広い範囲にわたって分布した。3.唇弁の表皮細胞の形は大きさに大小があったものの,Trichoglottisを除くと方形に近く,変異に乏しかった。花弁の細胞は方形,だ円形,三角形など様々のものが観察された。その大きさは一般に唇弁の細胞より大きく,高さ40〜90μ,巾30〜130μの変異があった。高さ/巾の数値の1以上のものに花被がビロード感を示すものが存在し,その値の低いものに平滑感があった。
- 岐阜大学の論文
- 1984-12-15
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