エスレル散布によるカキの薬剤摘果 : (第1報) 離層の形成と発達に及ぼすエスレルの影響
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概要
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カキ‘富有’の花らいおよび幼果の離層の形成, 発達に及ぼすエスレル散布の影響を調査した. 開花前10日と開花後18日に, 75, 150ppm水溶液を成木に散布した.1. 落らいおよび落果率は, 開花前10日75ppm区で約23%, 150ppm区で約71%, 開花後18日75ppm区は約11%, 150ppm区では23%であった.2. 開花前10日散布による落らいは花柄とガクの接合部に形成された離層を中心に, 開花後18日散布による落果はヘタと果実基部の接合部で離脱した. 離脱部位は発育時期により異なるが, 無散布とエスレル散布の間には離脱部位の違いは認められなかった.3. 無散布区では開花前10日に, 花柄とガクの接合部の周縁部から離層細胞の形成が始まり, 開花前日には中央部を残して形成された. エスレル散布により離層形成は3, 4日促進されたが, その形態に無散布区と差異は観察されなかった.4. エスレルによる花らいの離層発達状態は細胞解離なしに, 離層の中心に沿ってき裂が形成された. 無散布の幼果では離層細胞が解離し, 離層組織の崩壊が花らいの場合と同様特異的であった.以上から, 幼果の離脱は離層細胞の細胞壁に質的変化が起こり落果が誘起されたものと考えられるが, 花らいの場合にはさらに他の要因も関係したであろうことが考えられる.
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