スクシンイミドエステルの化学 (第3報) : <I>N</I>-アシロキシスクシンイミドによる牛血清アルブミンの化学修飾 (<I>N</I>-アシル化反応)
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概要
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<I>N</I>-アシロキシスクシンイミド (1) (CN=2〜8) によるBSAの化学修飾 (<I>N</I>-アシル化) を7.5≦pH≦9.0, 25℃で速度論的に検討した。 (1) によるBSAの修飾は (1) の分解と競争的に起こり, 速度は<BR>V= (<I>k</I><SUB>1</SUB>, <SUB>d</SUB>+<I>k</I><SUB>2</SUB> [BSA]) [(1)]<BR>で表すことができた。ここで, <I>k</I><SUB>1</SUB>, <SUB>d</SUB>は (1) 分解の一次速度定数を, <I>k</I><SUB>2</SUB>はBSAのアシル化の二次速度定数を示す。<BR>BSAに対する (1) の反応性はCN=2>CN=3>CN=4<CM5<CN=6<CN=7<CN=8の順であった。脂肪酸のナトリウム塩を添加するアシル化は阻害され, その順序はC<SUB>7</SUB>H<SUB>15</SUB>COONa>C<SUB>5</SUB>H<SUB>11</SUB>COONa>C<SUB>3</SUB>H<SUB>7</SUB>COONaであり, これはBSAの蛍光の差スペクトルと定性的に一致した。これらの結果から, BSAと (1) のアルキル基との相互作用がBSAのアシル化を促進することが明らかになった。このことは, 実際の修飾 (preparative scale) での結果からも支持された。速度比, <I>k</I><SUB>2</SUB>/<I>k</I><SUB>1</SUB>, <SUB>d</SUB>, が極大のときのpHは8.0であり, (1) (CN≧4) ではCNが増加する程大きい値を示した。また, 10<SUP>-3</SUP><I>k</I><SUB>2</SUB>/<I>k</I><SUB>1</SUB>, <SUB>d</SUB>の値は1よりも大きいことが認められた。以上の結果から, (1) がタンパク質のLys残基の化学修飾 (<I>N</I>-アシル化) 剤として利用できると結論できた。
- 社団法人 日本油化学会の論文
著者
-
石川 一彦
生命工学工業技術研究所
-
平田 博文
北海道東海大学 工学部 生物工学科
-
石川 一彦
工業技術院化学技術研究所
-
樋口 勝彦
工業技術院化学技術研究所
-
平田 博文
工業技術院化学技術研究所
-
平田 博文
工業技術院 化学技術研究所
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