スクシンイミドエステルの化学 (第5報) : 水溶液中でのN-スクシンイミジルベンゾエートと種々のアミノ酸との反応の速度論的研究
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概要
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N-スクシンイミジルベンゾエート (1) がタンパク質の修飾剤としての可能性を得ることを目的として, モデル化合物としてアミノ酸 (2) を選び, 水溶液中での (1) との反応を25℃, pH=pKaで速度論的に研究した。 (1) による (2) のN-アリールカルボニル化は (1) の分解と競争的に起こり, その速度はV= (k<SUB>1, d</SUB>+k<SUB>2</SUB> [2]) [1] で表すことができた。ここで, k<SUB>1, d</SUB>は (1) の分解の一次速度定数を, k<SUB>2</SUB>は (1) による (2) のN-アリールカルボニル化の二次速度定数を示す。<BR>二次速度定数, k<SUB>2</SUB>, は (2) の求核性 (pKa) と良好な相関性を示し, logk<SUB>2</SUB> vs. pKaのプロットの傾きは0.78〜0.86であった。また, メタ置換の (1) のハメットプロット (logk<SUB>2</SUB> vs. σ) は直線性を示し, ρ値は正0.65〜1.28) であり, オルト置換の (1) は立体障害のため置換安息香酸のpKaから予期される速度よりは小さかった。さらに, 速度比, 10<SUP>-3</SUP>k<SUB>2</SUB>/k<SUB>1, d</SUB>は若干のアミノ酸を除いて1.0よりは大きいことが認められた。以上の結果から, (1)による (2) のN-アリールカルボニル化は遊離のアミノ基がエステルカルボニルの炭素原子を求核的に攻撃して起こり, さらに, (1) を用いればタンパク質の修飾が可能であることが結論できた。
- 社団法人 日本油化学会の論文
著者
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山科 孝雄
工業技術院東京工業試験所
-
石川 一彦
工業技術院化学技術研究所
-
樋口 勝彦
工業技術院化学技術研究所
-
平田 博文
工業技術院化学技術研究所
-
山科 孝雄
工業技術院 化学技術研究所
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平田 博文
工業技術院 化学技術研究所
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