高海抜山岳地帯繋養乳牛の循環機能に関する調査成績

概要

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清里農村センター(海抜1,400m),扉牧場(海抜1,680m)および国際キリスト教大学付属農場(海抜50m)に繋養されているジャージー種成雌牛,計93頭を対象として,心電図と血液の物理的性状について調査を行ない,3群の特性を比較した.その結果,1,500m前後の高海抜地帯に飼養されている乳牛では,約60パーセントの個体に心肥大が認められたが,浮腫などのみられたものはなかった.血液の物理的性状は平地と高地でかなり相違し,同程度の栄養状態にあるものでは,心肥大の出現と何等かの因果関係にあるものともみられる.しかし,高海抜山岳地帯では,飼養環境不良に原因する低栄養状態を伴なう場合が多く.このような乳牛群の血液性状は,まったく異なったパターンを示すことが明らかとなった.以上の成績から,心肥大は高海抜環境の問題を論ずる場合,きわめて有効な指標となりうるが,わが国の現状では,低栄養という不良状態におかれている場合も多いことに十分留意すべきことが示唆された.この調査の実施に当り御協力いただいた扉牧場の内城本美氏,清里農村センターの瀬野尾有司氏ならびに国際キリス教大学付属農場の湯川定夫氏に感謝する。
社団法人日本畜産学会の論文