運動負荷により発生したマウスの心肥大
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概要
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平地環境下で心肥大を発生させる1つの試みとして,運動負荷試験を行なった.平地で生産したICR-JCL系マウスを雌雄それぞれ対照群10匹,運動負荷群15匹に分け,負荷群にはマウス用トレッドミルにより,生後3週令から10週令に至る7週間50日にわたって連日,運動負荷をくりかえした.運動はマウスの状態をみながら次第に強度を強め,分速25m,60分の走行を1日の最大負荷量とした結果,全走行距離は37,630mとなった.生後11週令時に,心電図による機能検査を行なった後と殺して,主要臓器重量と心室壁の厚みを測定,それぞれの項目につき平均値の比較(危険率5%)により,.運動による影響について検討した.腎,肝(雌雄),脾(雄),脳,心(雌)の重量体重比は運動負荷群で大きくなったが,高海抜環境曝露により著明な変化を認めた副腎重量には変化が認められなかった.右心室壁の厚みは雌雄とも運動負荷群で大,左心室壁に対する右心室壁の厚みの比は雌雄とも負荷群で減少した.心電図所見では,QRS群の持続時闇が雌雄とも運動負荷群で延長し,明らかな肥大所見がみられたが,特記すべき機能異常は認められなかった.以上の成績から,高海抜環境に曝露した場合と運動負荷とでは,臓器重量の変化からみると若干異なった反応を示したが,いずれの場合にも心肥大が発生し,この程度の負荷条件では循環機能の障害は認められないことが明らかとなった。
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